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投稿日時:1994/ 1/22 11:53 投稿者ID:CHM88424
#1363/3141 るーみっく☆わーるど
★タイトル (CHM88424)  94/ 1/22  11:53  (103)
BD大会>話題のキス(?)シーン   NIFTYより
★内容
【NIFTY-Serveより転載24】
>- FANPLN  MES( 4):るーみっくわーるど(8)高橋留美子の部屋          -
>00221/00221 PXH01472  にゃにゃ丸       BD大会>話題のキス(?)シーン
>( 4)   94/01/21 00:04


 どうも、にゃにゃ丸です。ラストのラムとあたるのキス(?)シーンというもの
が結構、話題になっていますので、ちょっと私感を述べさせていただきたいと思い
ます。なお、この文章は、皆さんの様々な書き込みを読んだ結果を受けての僕の感
想ですので、特定の書き込みへのレスという形でなく、独立した文章としてアップ
させていただきます。

 皆さんの意見を読んでいますと、ラストのラムとあたるのキス(?)シーンをど
のように感じたかによって、本当のるーみっくファンかどうかわかる、つまり、あ
のシーンは押井監督がファンに突きつけた一種の『試金石』である、というような
意見が多いような気がしますが、あのシーンは本当に、それほど重要なシーンなの
だろうか、というものが僕の正直な感想です。

 確かに、あのシーンは公開当時から論議を巻き起こしていたシーンではあるので
すが、その当時の『論議』は「なぜあのとき、ラムとあたるをキスさせなかったの
か?」というような内容だったと記憶しています。このようなファンからの意見に
対し、押井監督自身が後に“月刊アニメージュ”の付録の小雑誌(たしか、『天使
のたまご』が公開当時の付録で、タイトルは『アニメよ、おまえに何ができるのか
?』というものではなかったかと思うのですが、何分、つい先日、部屋を整理した
際、捨ててしまいましたので、はっきりとしたタイトルはわかりません。できまし
たら、どなたかフォローして下さいません?(^^;)において、ご自身の感想を述べ
ておられました。
 うろ覚えで恐縮なのですが思い出せる限りに内容を書きますと、押井監督自身は
あのシーンをそれほど重くみてはいなかったのだが、ファンからの意見(つまり、
「ラムとあたるにキスさせてやりたかった」ということ)を聞いて、残念に思っ
た。自分としては、ファンには、そのようなささいなシーンにこだわるではなく、
もっと純粋に映画として楽しんでほしかったとかいうようなことを、おっしゃって
いたように記憶しています。

 僕個人の感想から言いますと、問題のキス(?)シーンは、小池一夫さんなどが
おっしゃられるところの、キャラクターもしくはストーリーが観客にとって印象深
いものになるようにするための『ラストの遊び』にすぎないのではないかなと思い
ます。従って、僕は、それほど深い意味があるシーンだとは考えていません。

 問題のキス(?)シーンというものは、あたるが必死の思いで夢の中の世界から
脱出した直後のことです。あのキス(?)シーンをラストの数分間の中において考
えてみると、次のようにまとめることができるでしょう。:まず緊迫したシーン
(あたるの落下シーン)の直後に、ゆったりとしたシーン(あたるが目覚めてから、
「ラム...、それは夢だ...」のセリフを言うまでのシーンですね。)をつなげ、そ
して何となくムードが高まった二人(ここが問題のキス(?)シーンです)に邪魔
が入り(メガネの「オホン」という咳払いです)、結局、いつもの痴話喧嘩に逆戻
り。

 押井監督の演出の見事な点は、技術論としては、各シーン、各カットごとの緩急
の付け方にあると思います。この点は、押井監督が演出、あるいは絵コンテを切っ
たTVシリーズのうち、しばしば傑作と呼ばれる作品によく現れていると思いま
す。(例えば、「ニャオンの恐怖」「さよならの季節」「面堂家仮面ぶとう会」
「死闘!あたるvs面堂軍団」など)
 ですから、BDの場合も、あのキス(?)シーンというものを入れたこと自体に
ついては、ただ作品にメリハリを付けたかっただけであって、押井監督ご自身には
深い意図はなかったのではないかと思います。その証拠に、あのキス(?)シーン
は、メガネたちに邪魔された結果、キスは実際には果たされなかったのですから。
(さっきから“キス(?)シーン”と書いているのはそのためです。)仮に、押井
監督が実際にファンに対する『試金石』としてあのシーンを入れたのだとしたら、
ラムとあたるは実際にキスしなければならなかったのではないかと思います。

 『うる星』のファンに関わらず、アニメファンが、作品中で描かれるキャラクタ
ー達に自己投影することで、自分たちの満たされない願望を補償している、という
主張はしばしばよく耳にします。例えば、LTFが公開された頃“月刊OUT”誌
上で、あるアニメ評論家の方(たしか、“霜月たかなか”さんとおっしゃる方では
なかったかと思うのですが...、これまたうろ覚えでスミマセン。)が『うる星』
の男性キャラクター達を評して、次のように書かれていたという記憶があります。
:彼らはあんなかわいらしい女の子達を目前にして、せいぜいキスしようとするく
らいで、まったく、そこから先に進もうとしない。また、それを見守るファン達も
それで満足している。いわば、彼らを見守るファン達は、実際に『恋愛』をする努
力をしない代わりに、アニメキャラクター達に自己の満たされぬ願望を投影し、そ
の自らの虚像に満足することによって、恋愛モラトリアムの状態にあるのである。

 アニメといいますか、娯楽作品にとってキャラクターの魅力というものは欠かせ
ないものなのですが、彼らキャラクターに“本当”に惚れてしまうファンというも
のは、実際には、数としては“少数派”(もちろん、そういうファンも存在すること
は否定はしませんが(^^;)でしょう。『うる星』を愛するファンの大部分は、今も
昔も、純粋に『うる星』がおもしろいから、『うる星』という作品に熱狂したので
はないでしょうか。たまたま、『うる星』の場合、それに加えてヒロインのラムが
かわいかっただけにすぎないのではないかと思います。

 ラムに対して『女であること』あるいは『ファンが望むような虚像』を押しつけ
たくなるファンというものは、絶対数としては少数派でしょう。BD公開当時の、
あるいは現在でも『うる星』を愛してやまない大多数のファンは、純粋に『うる星
』の作品としての面白さを評価しているのではないでしょうか。従って、そのよう
な“作品としての面白さを評価しているファン達”に押井監督がなぜ、『試金石』
をわざわざ与えたりするでしょうか?“作品としての面白さを評価しているファン
達”にとっては、あのときラムとあたるがキスしようがしまいが、作品としては、
どっちでも良いことなのです。つまり、彼らにとっては、キスシーンの存在と作品
の評価それ自体は無関係なのです。

 押井監督も当然、そのように考えていたから、逆に後になって「あのときラムと
あたるがキスすれば良かった」という感想を聞いたとき、そのようなファンの対応
を残念に思ったのではないかなと思います。

 もちろん、これは僕個人の私感なので、批判・批評等はお待ちしております。
 あと、もしかしたら、内容を引用させていただいた箇所に僕の記憶違いがあるか
もしれませんので、もしお気づきの方がいらっしゃいましたら、ご指摘下さい。
(何分、資料を整理してしまいましたので、正確な引用ができておりませぬ(^^;。)


                    by  にゃにゃ丸(PXH01472)

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