![]() |
#1348/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QKM33822) 94/ 1/16 23: 6 ( 92) BD大会>白い帽子の少女の意味 SAMWYN ★内容 ☆はじめに さて、階数が変わる校舎と並んでBD全編に現われる謎が、この「白い帽子 の少女」は何を意味するのか、です。と言うわけで、今回はこの謎の少女につ いて考えたいと思います(^^)。 ☆その登場シーン 彼女は全部で6ケ所に登場します。それは、 真夜中のチンドン屋の後ろ ボイコット貫徹の教室 メガネたちの乗った電車の中 風鈴屋の後ろ フランケンあたるに花を渡す DNAの中、夢邪鬼と対立する位置 です。セリフは6番目にあるだけで、他は無言のままです。そこで、ここでは 最初の5つと最後の1つの2つに分けて考えてみます。 ☆最初5つの共通点 彼女が注目し、見守った相手にはすべて共通点があります。真夜中のチンド ン屋、ボイコットで誰もいない教室、終電のたった2人の客、秋の風鈴屋(ラ ムたちは、オープニングでは冬服、最初の食事シーンから夏服、一連のあたる の夢のシーンは抜かすとして(^^;、あたる墜落後は結局冬服に戻っています。 風鈴のシーンはその夏服に変わった直後に入っているので惑わされてしまうわ けですが、BDの基本的季節は秋、それも晩秋です)、フランケンシュタイン の怪物・・・そう、それらは皆、「すべての人から見捨てられた寂しい存在」 です。あるいは、彼らはすべて「忘れられた存在」です。少女はそんな存在た ちと行動を共にしている・・・これは、その少女もまた「忘れられ、見捨てら れた寂しい存在」である、あるいはそうなりかけているのだ、と言うことを意 味しているように私には思われます。そして、最後の6番目のシーンで、彼女 はラムであることが告げられるのです。 ☆6番目のシーン DNAは、生命の基本原理ですから、あるいは「本能」でしょうか。少女は 最後に、そこであたかも裁判のように夢邪鬼とともにあたるのまわりをグルグ ル回っています。と言うことは、夢邪鬼はこの少女をこそ救い出すためにあた るを裁いたことになります。 さて、少女とあたるの会話はあまりに重要過ぎるために、あえてすべて聞き 取りで書き出させて頂きました(^^;。以下、これは? と思うところにコメン トを入れつつ、それを記します(^^)。 『お兄ちゃん、どうしても帰りたいの?』 『お兄ちゃんはね、好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいの さ。わかんねえだろうなぁ。お嬢ちゃんも女だもんなぁ』 これこそが、押井監督がアニメうる星やつらを降りた最大の理由ではないで しょうか? 「ラムが(ありのままの)ラムでいるために、私はラムから離れ なければならない」・・・もうこれ以上ファンの要求には従いたくない、そん なことをすれば本当のラムは忘れ去られてしまう、そんな押井監督の叫びがこ こには込められているのではないでしょうか? 『教えてあげようか?』 『えっ!? 知ってんの? 現実へ帰る方法を知ってんの?』 『誰でも知ってるよ? ただ、目が覚めると忘れちゃうの。こうやって、ここ から飛び降りるの。そして、下に着くまでに、目が覚めたらどーしても会いた い人の名前を呼ぶの。名前が呼べない人は、きっと目が覚めるのが嫌なのね』 「誰でも知ってるよ」。でも、あたるはそれを知りません。だから、ここで はあたるはすでに目覚めています。現実と夢がごた混ぜになってしまって、彼 は自分がもう夢の中にはいないことすら認識出来ません。なぜそうなってしま ったのか? 押井監督はそれを、「現実の世界への失望からである」と見做し ました。現実を直視するのが嫌だから、夢・思い込み・偏見、そのようなもの にすがるのだ、と。 『それなら、大丈夫! お兄ちゃん、会いたい人、い〜っぱいいるから! に ゃははははっはっは』 『その代わり、約束してくれる?』 悪夢から覚めて、現実に戻りたいのなら、これだけは忘れてはいけない、そ れは、 『ん?』 『責任、取ってね?』 その少女は初めて、自分がラムであることを明かし(これは、逆に言えば、 ここまでのラムはすべて偽物である、と明かしたことでもあります)、そして 言います、「責任、取ってね?」と。 彼女はあたるが自分の名を呼ぶかどうかは問題にしていません。好きだろう が嫌いだろうが、どっちであれ「責任、取ってね?」なのです。自分の名を呼 ぶのなら(本当のラムが好きなら)「責任、取ってね?」、あるいは自分の名 を呼んでくれなくても(あなたがあくまで「偽物の」ラムを好きだとしても) 「責任、取ってね?」です。つまり、自分が本物のラムが好きなのか、自分だ けの夢の中のラムが好きなのか、それだけははっきり自覚しておいて欲しい、 これが、押井監督がファンに対して最低限要求したかったことである、私はそ う読みました。 ☆終わりに 結局、白い帽子の少女こそが「真」ラムであり、その本質は「女ではなくま だ少女」です。そして、それはまた押井監督の把握なされたところのラムであ る、ところが、ファンはあくまで「少女ではなく女としての」ラムを要求し続 ける・・・BDは、そうしたファンに「目を覚ませ!」と繰り出された強烈な ビンタ、一喝、一杯の茶である。それが、これまでのMSGを通じて私が理解 したところの「ビューティフル・ドリーマー」です(^^)。 SAMWYN