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#1668/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (YUD09175) 94/ 6/ 1 9: 3 ( 50) 考察>『らんま』のスパイラル構造・序 マッシャ・アッキーニ ★内容 ★ はじめに お待たせしました。 #1659で予告した考察の骨組ができあがりました。 この考察は『らんま1/2』の、連載が始まってから現在までを主な対象とし て、似たようなモチーフを使ったシリーズ(または話)間の相互関係を調べるこ とによって、連載の流れを大局的に追っていったものです。 そうすることによって、それらの流れの中に法則性のようなものがもし見出せ たとしたら、そこには作者による何らかの意図が存在しているものと考えられま す。だとしたらその意図とはどんなものなのか? それを検討していこうという のが、今回の試みです。 もうお察しのことと思いますが、これは作者の意図の存在を前提としています。 もちろん、これから示される(であろう)ことは、解釈のひとつに過ぎません。 しかし、これから『らんま1/2』を批評しようという人(とくに私)が『らん ま1/2』の全体像を掴みながら考察を行いたいとき、必ずや何らかの一助とな るであろうと自負しております。また、他の人が同じ方法を使った場合はどうな るのかも興味深いところです。 ここでお断りしておきたいのは、この分類が、多分に私の主観に基づいている ということです(そうしようとしてこうなったわけではありませんが(^_^;))。 多くの解釈が生まれる可能性と同じくらい、逆にその可能性を制限している部分 もあるでしょう。しかし残念ながらそれらを包含する分類の方法を私は知りませ ん。何よりも著者自身の解釈に有効となってしまうのは、これを書いているのが 私である限りどうしようもないことですので、ご承知おきください。 ★ スパイラル構造とは? さて、前に少し触れました「周回」についてです。ここで説明するよりも、 RB693ー696 としていただく方が早いと思いますが(笑)、一応概要だけ述べてお きます。 この場合の「周回」は、タイトルにも使っている「スパイラル構造」というも のの中において使用されるタームです。SF小説に詳しい方ならばご存じかと思 いますが、「スパイラル」=「螺旋(ラセン)」であり、大抵の場合、小説などの構造 は螺旋のようになっています。つまり、各エピソード/シーンが回転しながら螺 旋のように配置されているということです。そこにおいて、一回転が一つの「周 回」となります。もちろんこのままでは単なる相互関係ですが、構造により与え られる意味を射程に入れた場合はどうなるでしょうか? この構造を逆手に取った作品がいくつかあるそうです。尤も私の知っている実 例は一つしかありません。参考までに付記しますと、2年前まで朝日新聞で連載 されていた筒井康隆さんの『朝のガスパール』(朝日新聞社刊)です。 『朝ガス』では、チベット仏教のタントリズムを利用して時空間を飛翔するた めのエネルギーとしてプラーナ(気)を練りあげることを螺旋構造になぞらえま した。さらにその螺旋構造には外的要因としてパソ通(^_^;)・投書による読者の 声が作用していました(つまりこれが目的だったのですね)。パソ通(ASAH Iパソコンネット)での記録は『電脳筒井線・1〜3』(朝日新聞社刊)に収録 されていますので、『朝ガス』と併せて読まれることをおすすめします。『らん ま』のサブ・テキストとしても最適ですよ(^_^)。 (『らんま』のスパイラル構造・1につづく) マッシャ・アッキーニ