SIG るーみっくわーるど SIG るーみっくわーるど」は、漫画家 高橋留美子先生(るーみっくわーるど)の作品が好きな仲間が集まっているグループです。 るーみっく好きなメンバー間コミュニケーションのためのチャットや掲示板の提供、るーみっく系イラスト・小説・リンク集の公開などを行っています。 オフ会も不定期に開催されています。1992年6月にPC-VAN上で誕生した歴史あるグループです。
ホーム | About | 新着・お知らせ | フォーラム | ライブラリ | チャット公開ログ | メンバー紹介 | リンク | Copyright
投稿日時:1994/ 8/15 11:31 投稿者ID:YUD09175
#1831/3141 るーみっく☆わーるど
★タイトル (YUD09175)  94/ 8/15  11:31  ( 96)
感想>「1 or W」          マッシャ・アッキーニ
★内容

 コミケバテで何もする気が起こらない…、などと言っているうちにもう1週間
が経ってしまいました。

 しかし「1orW」はいろいろと気になる。いつもなら、一遍の読みきりとして
さらっと読めた、で済ませるところですが、それだけではない、「一体何だった
んだろう」という不明瞭な感情が残っています。「さらっと読めた」というのも
ある一面においては事実なのですが、それは単にこの作品の世界観を味わうこと
に抵抗がなかったということであり、私がこの作品を読んで感じたことを表現し
ようとすると言葉に詰まってしまうのです。
 タイトルが「1orW」というものでなければ、あるいはこのようには思わなかっ
たかもしれません。普通に読むならば、「1」は「一柳 渚」、「W」は「若田
部先生」、それは見ての通りです。両者共に宮本くんに強い影響を与える人物で
あり、若田部先生の体が行方不明の間、若田部先生は渚ちゃんの体を独占し、渚
ちゃんは生霊となって浮遊していました(このへんがお盆らしい)。宮本くんは
若田部先生を渚ちゃんの体から追い出すため、若田部先生に試合を挑みます。そ
の過程で宮本くんと渚ちゃんの気持ちがはっきりするというのがこの話の大まか
な流れですが、この2人を軸とした流れと共に、若田部先生を取り巻く人間模様
(笑)も描かれています。
 渚ちゃんの生霊が現れてからは、若田部先生の術中に陥り、練習にはげむ宮本
くんの姿が描かれます。その一方で、渚ちゃんをかわいそうに思う部員たちの、

 「先生がとっとと体をあけ渡せば、渚ちゃんは助かるんじゃ…?」

というセリフや、必死になる宮本くんの様子からも分かるように、若田部先生の
体のことには言及されなくなっていきます。宮本くんが一本を取るまで、事の重
大性は隠蔽されていたのです。もっとも、最後の1Pですとーんとオチがつくこ
とにより、寸前で深刻な事態は避けられるのですが、

 「先生もう思い残すことないぞ。」

に続く若田部先生の唐突な宣言は、今まであえてそれに触れられていなかったゆ
えに、やたらあっさりしているにもかかわらず、強いインパクトで迫ってきまし
た。そのときの私の心境は、部員たちのそれと近かったのではないかと思います。
コミケ帰りのボケた頭でなければ、あるいは冷静にその仕掛けに気付き、また違っ
た感想を持ったかもしれませんが。いずれにせよ、ともすれば重くなりがちなテ
ーマを、さらっと描く技量は絶妙です。
 結局、若田部先生の、

 ・宮本くんを合宿中に鍛えることで頭が一杯
 ・人の話を聞かない

という性質があらゆる展開に有機的につながることで、彼は宮本くんと渚ちゃん
のキューピッド役となるわけですが、そういう意味では彼はすべての事態を把握
していた(体をあけ渡せば渚ちゃんは助かることくらいは分かっていた)という
ように解釈することも可能かもしれません。それは、目的を果たせばこの世を去っ
てもよいと決心していたことや、

 (がんばれよ、宮本)(一柳を救えるのはおまえしかいないんだ。)

というモノローグからも察することができます。見たまんま、ほんとうに好き放
題やってただけかもしれませんけどね(^_^;)。
          ダブル   ワン
 さて、渚ちゃんは「W」から「1」に戻りました。若田部から一柳へ。渚ちゃ
んは2人から1人へ。実体は1人から2人へ。渚ちゃんと宮本くんの2人がくっ
つくことも「1」から「W」に含まれているかもしれません。けもさんはさすが
に巧いです。これは我ながら素直な読み方だと思います。
 じゃあ、さっきの、タイトルが「1orW」であることに由来する「不明瞭な感
情」云々というのは何のことだったのか…?

 ここからいつものゲスカンが始まります。「1」か「2」か?…確かに、スト
ーリーに沿った見事なタイトルといえるでしょうが、作者の側に立って考えてみ
ると、それだけではこれをタイトルにした動機付けとしては弱く感じられます。
 迷惑な先生と好きな女の子、どちらかを選ばなければならない状況で、宮本く
んは迷わず渚ちゃんを選んだけれど、結局どちらも助かりました。こうした物語
をけもさんが創作したことには、目的があるはずです。
 で、私にゃそれが『らんま』絡みに思えてならないんですよ。
 ヒロインの体に乗り移った者が、その体を半裸にする。そこで生霊となったヒ
ロインは、

 「見ないで−−−っ。」

…そう、3週前のあの事件を思い出しませんか?

 それだけじゃありません。『らんま』との共通イメージは他にも、

 ・タイトル
 ・若田部先生のノリが九能ちゃんに似ている(これはご愛敬)
 ・渚ちゃんがあかねちゃんに似ているコマがいくつかある(妬き方など)
 ・宮本くんは乱馬くんのよーな良牙くんのよーな湧太のよーな
 ・宮本くんをからかう若田部先生→良牙くんをからかうらんまちゃん
 ・白面の剣士→あかねちゃん

などにも表れています。女体を持つ男、なんてそのまんまだと思うのですが。
 「不明瞭な感情」ってのは、これらのイメージ連鎖の表す意味に対してです。
今回、けもさんは純粋に物語を創ることが目的で、『らんま』との関係は、あっ
たとしても無意識レベルだというなら、上記のようなことを探るのも一興ですし、
意図してやったことなら、なお気になります。さて、この話に隠された指向性と
は一体……?

 予告との違いも気になるなぁ。

 横断幕まで出ている割に、反響が今一なので首を捻っています。飛鳥さんあた
り、何か書かれるんじゃないかと思っていたのですが、どうなんでしょう?

                         マッシャ・アッキーニ
前の投稿:#1830 雑感>RE#1827 はっっ、千葉さんだったか(^_^;)  by阿修羅
この投稿:#1831 感想>「1 or W」          マッシャ・アッキーニ
次の投稿:#1832 雑感>RE#1824 ちょっとコメントします マッシャ・アッキーニ

フォーラム過去ログ一覧へ戻る

Copyright © 1993-2005. SIG るーみっくわーるど
このページにある投稿文章は、各投稿者に著作権があります。
このサイトで公開されている全ての文章・画像などを許可なく転載することを禁じます。