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投稿日時:1994/ 8/24 1:27 投稿者ID:XGM38132
#1868/3141 るーみっく☆わーるど
★タイトル (XGM38132)  94/ 8/24   1:27  (108)
考察>『うる星』と『らんま』の男女の扱いの違い by阿修羅
★内容

 ちょっと気付いた事があったので。では、

 『らんま1/2』では乱馬は武闘家としてあかねよりも強く、全体通しても男が
男らしい(例外もあるが)という意味で男性優位の方向だと思われます。逆に、
『うる星』では女性の方が圧倒的に優位です。
 また、『らんま』では、物語が進むにしたがって、乱馬のあかねに対する思いに
対して相対的に、あかねの乱馬に対する思いが強くなっていってます。これも『う
る星』は逆で、こちらはあたるのラムに対する思いが増して行きます(自覚して行
く、と言った方がいいかも)。
 また、『らんま』では乱馬が居候で、『うる星』ではラム。修行で何時いなくな
る可能性もあるのは乱馬で、何時母星に帰ってしまうかも知れないのはラム。
 また、迷惑でも憎めない幼なじみの良牙が居るのは乱馬で、やっぱり迷惑で憎め
ないランはラムの幼なじみ。
 『らんま』では、ややこしい知り合い・もめ事の基?を連れて来るのは乱馬で、
『うる星』ではラム。
 と、言うことで、ヒーローとヒロインのポジションが全然違う…。恐ろしくハッ
キリと対応してくれますね。『らんま』と『うる星』では、男女が全く入れ替わっ
てますね。
 重要なものを綺麗に並べるなら、こうなります。

                うる星      らんま

優位なのは           女性      男性
突然現れるのは        女性(ラム)  男性(乱馬)
最初に惚れるのは        女性(ラム)  男性(乱馬)
次第に惹かれて行くのは    男性(あたる) 女性(あかね)
いなくなる可能性があるのは   女性(ラム)  男性(乱馬)

 『うる星』が女性主体で描かれているのに対し、『らんま』は男性主体で描かれ
てますね。
 うる星について、作者は、

# 「男の子の知らない女の子の部分、男の子が知りたいところってあるでしょう、
#  こういう時女の子ってどうするのかなとか、そのへんをつくわけです」
#
# 「女の子は、パワーでは男の子に負けてしまうんですが、女の子が、より女の
#  子らしく男の子に対することによって、逆に男の子に攻めこんでいく」

 と、女性キャラの魅力で男性読者を惹きつけている、物語を引っ張っている、と
いう様なコメントをしています。この事からも、『うる星』はメインは女性である
と考えられます。
 それに対し、『らんま』は違います。こちらは女性が話を引っ張っている事は有
りません。主導権握って行動を起こし、話を展開させてくれるのはいつも乱馬です。
つまり、『らんま』は男性を描いている、という事になります。
 これに関連して、このコメント。

# 「少年マンガだと、女性が男のキャラを描いて成功するっていうのは相当たい
#  へんなことじゃないか思うんです」

 つまり、『らんま』では、『うる星』で出来なかった“男性キャラをメインに描
く”という手段を、試みている、という事になります。
 しかし、作者自身も言っている様に、女性が男性キャラメインで話を作って行く
事は、確かに難しい事ではないかと思われます。そして、そこで登場したのが「ら
んま(女)」です(僕は女らんまは平仮名で書きますんで、宜しく(^^))。
 このキャラは、『らんま』の世界に於て、女性でありながら男性と対等に渡り合
い、展開を引っ張って行くことが出来ます。作者はこの女性キャラ「らんま」の助
力によって、難しい男性主体の物語世界を、巧くバランスを取りながら描いている、
と考えられます。
 この「らんま」に対応するキャラは、『うる星』の世界には正確には存在しませ
ん。竜之介も、渚も、その本質は、つまり肉体的には女性であり男性でした。渚の
性格がいくら表面上女性的だとしても、完全に女性を演じさせることは出来ません。
しかし、「らんま」の場合は可能です。
 「らんま」は、精神は全く男のままで、状況は渚と同じに見えるかも知れません
が、肉体的な制約は有りませんから、やろうと思えば、完全な女性を演じさせる事
もできます。つまり、いざとなれば「らんま」をもっと女性化して、得意の女性で
引っ張って切り抜ける事もできる、という精神的余裕を、作者は持つことが出来る
と考えられるのです。

 さて、いま作者がトライしていると思われる男性主体世界、果して上手く行って
いるのか、というと、やはり苦労している様に、僕は思います。個人的な感想を持
ち出す事になってしまいますが、『らんま』の男性キャラに感情移入出来ない事が、
そう言う理由です。
 『うる星』の男性キャラは、男性を惹くべく描かれた女性キャラに、惹かれて行
く、という形で、男性読者はそのままでその男性キャラと立場が同じです。ところ
が、『らんま』の男性キャラは‘男性を’描こうとして描かれていると考えられま
す。そして、『らんま』の女性キャラはその男性に、惹かれて行きます。この場合、
『らんま』の女性キャラに対する『らんま』の男性キャラと読者は、立場が異なっ
ています。
 この為、男性読者が『らんま』の男性に共鳴できるのは、直接、女性である作者
の描くその個々の人格に共鳴できる場合、という事になります。これは、難しい事
ではないかと思います。

 ここで、また一つ、可能性があります。それは、『らんま』が『うる星』と男女
が逆であるとすると、男性読者に圧倒的に支持されたと思われる『うる星』とは逆
に、『らんま』は女性読者の支持が『うる星』に較べて大きいのではないか、とい
うものです。ただ、これは『らんま』の男性キャラに女性読者を惹きつける魅力が
必要ですが。
 この事は、男性読者を描くことで少年誌で成功する、という作者の持っているか
も知れない思惑に反するとも言えますが、考えられなくはないです。また、さらに
は、作者は最初から女性読者を意識して描いているのかも知れない、という事も考
えられます。

 こういった試みを、作者が意識的に、または無意識的に行なっているかは、実際
の所は分かりません。ただ、『うる星』と『らんま』という、表面上ラブコメでギ
ャグマンガで、よく似ている様に見えるこの二者は、ここまで性質の異なる、むし
ろ正反対の物ではないかという事を、改めて認識しました。

 以上、少々詰めが甘いですが、『うる星』と『らんま』の男女の扱い方から見た
違いについて、でした。


                      94/8/23  by 阿修羅

《おまけ(笑)》男女ネタでなかったから最後に移動しました。
 ヒーロー役のギャグ的面について言えば、『らんま』では乱馬は次第に、曰く
『くされ外道』、になって行ってるわけですが、『うる星』ではあたるは方向とし
てはかっこよく(笑)なって行ってますね。(明確ではないです、これは(;))
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