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#2029/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QEG72756) 95/ 1/27 0:43 ( 97) 感想>はずれたっ! けど、意味深…。 飛鳥 杏華 ★内容 うーむ、見事にはずされてしまいました。ある意味では、はずれてくれるのを期 待してはいたんですが、すべての予想がことごとくはずされるとは思ってなかった。 さすが、けもさんは私なんぞの数段上を行っていますね。(笑) 私は、隼人の口もとに注目して、何らんの拍子に口がタコ(ひょっとこ)のよう に「にゅっ」と突き出てしまうんじゃないかと想像してたんです。それで、右京が 「マヌケ面」と言ったんじゃないかなと…。(今回、「マヌケ面」の点だけは、何 かいまいち納得が行かないような気もしますが…。) 前回だけを見るなら、この予想は決して見当はずれでもないように思えます。最 後の柱の文句も「隼人のタコ…」と、なんとなく秘密がタコと関係ありそうな感じ を匂わせていますし…。 ところが、全部はずされた。(笑) 前回のラストの悲鳴は隼人のもので、今回 の冒頭で、乱馬が笑いころげてるんじゃないかという予想も含めて、まったく見事 にやられました。(^_^;) ラストの乱馬の台詞。「やられたらすぐやり返さないと…」って、もしかして、 「阿修羅編」のとき、私にオチを当てられたので、担当さんとグルになってハズし てやろうと企んだのでは…?(んなわけねーよ! 笑) しかし考えてみれば、もし、この2人にカップリングの可能性があるとして、隼 人の顔がタコみたいだったら、右京ファンが怒って認めないでしょうからね。カッ プリングの方も今回は全然そんな様子じゃありませんでした。次回は柱の文句から、 昨年の「邪悪と豆の字」のような節分ネタの1話ものが予想されますから、これで、 まだまだ「らんま」は続くという見方ができますね。(私としては、その方がうれ しいけど…。笑) で、隼人の秘密が「一生お面をつけて暮らすこと」だったというオチですが、言 ってしまえば、より、しょーもない秘密だったと言えるでしょう。でも、乱馬の台 詞のとおり、かゆいのにかけないつらさっていうのは、たしかに厳しいものがある なぁと納得もできます。この辺ところの発想がいいと思います。 以前、「阿修羅編」の力の源の正体が磁気絆創膏だったというオチに、「あのオ チを見て、高橋留美子はもうダメだと思った。」なんて言った人が私の周囲にいま したが、私は逆です。しょーもないオチだったときほど、そこに何かがカムフラー ジュされているんじゃないかという感じを受けたりするのです。 例えば、海千拳の秘密なんかもそうですね。あくまで、コソ泥というしょーもな いオチを主張していましたが、主張してるからこそ、その背後に隠されたものを感 じました。今回ももすごく意味深なものを感じます。私としては、こっちの意味で おもしろいと思うのです。 お面が邪魔でかゆいくてもかけないつらさ…。「かゆくてもかけない」というの は、いろいろ受け取りようがありますが、例えば、批判や考察者の勝手な推測がか ゆくても(痛いと言わないところがさすがです。笑)、お面(仮面)が邪魔をして かけない…、なんていう受け取り方もできるわけです。 また、「かゆい」ということは、当然、「かきたい」わけです。つまり、「かき たいのにかけない」ということになります。ここで「かく」に「描く」という字を あてると…、ものすごく意味深になってしまう。(^_^;) さらに、隼人は6年前の勝負に負けて以来、ずっとお面をかぶって暮らしてきま した。「らんま」の世界では時間が進んではいませんから、どの時点から遡って6 年前かという議論もありますが、通常は作品(その回)が発表された時点から遡っ て差し支えないと思います。 さて、現在は95年1月。実際の執筆時期は昨年末にかかっていますので、6年 前というと、88年の年末から89年の1月頃になります。さて、この頃、けもさ んが何をしていたか憶えていますか? そう、病気療養中で「らんま」も休載中でしたね。つまり、描きたいのに描けな い状態にあったわけです。さらにここで、隼人をけもさんと置くと、この休載以降 ずっと仮面をつけて暮らしてきた、すなわち、本音を仮面の裏側に隠して作品を描 いてきたという図式を見いだすこともできます。 いままで、乱馬がけもさんの立場を投影することが多かったことから考えて、隼 人をけもさんと置くのは若干の疑問もないわけではありませんが、設定が6年前に なっているのは偶然とは思い難いような気がします。 今回、こんな読み方になったのは、やはり最後の乱馬の台詞です。「やられたら すぐやり返さないと…」という台詞。つまり、「仕返し」ですよね。「仕返し人形 編」以来、私もおもてだって読者批判論を展開するのは控えてきましたが、記号と して、6年前(休載)、お面(仮面)、かゆい(かきたい)のにかけない、やり返 す…といったものが集まってくると、やはり、「そうだったのかなぁ」という気分 になってしまいます。 さて、隼人はついに右京に勝ち、不自由なお面生活から解放されるはずでした。 つまり、もう仮面をつけて作品を描かなくても済むと…。それは、暗に「らんま」 の完結ということを意味していたのかもしれません。 ところが、乱馬の手によって、隼人はお面をとることができなくなってしまった。 隼人をけもさんと置くならば、乱馬は何なんだということになりますが、これもま たけもさんだとも考えられますし、「らんま」という作品自体だとも考えられます。 で、結局、仮面をとることができなくなった…。ということは、もしかしたら、 「らんま」を終らせることができなくなったということなのかも…。(^_^;) だと したら、個人的にはうれしいんですが、「らんま」を続けることがけもさんにとっ て「不自由な仮面の生活」だとしたら、ちょっと考えてしまいますね。(^_^;) うーむ。しかし、一見、しょーもないオチに見える回でも、なかなか深いものが 潜んでいて、やっぱりすごいな。この作品、どうやって終らせるんでしょう? も のすごく興味がありますね。(笑) QEG72756 飛鳥 杏華