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#1342/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QKM33822) 94/ 1/15 18:37 ( 87) BD大会>風鈴の意味 SAMWYN ★内容 ☆はじめに 「意味が分からない」と聞くとつい解きたくなってしまうロジカル・パズル ・ファンのSAMWYNです(^^;。と言うわけで、この謎の多いシーンに挑戦 ! なわけですが、あらかじめ断っておけば、私はTV版うる星の押井監督時 代のものは記憶にある限りでは、1話(メガネがパワード・スーツ着てゴミの 山の上で絶叫する奴です(^^)。あと、あたるが風呂屋のバイトする話をBD公 開すぐ後に見た(BDそのものはもっと後、フジで朝に放映された時に初めて 見ました(^^;)記憶があるのですが、もしかしてそれもかナ(^^;?)しか見て いないので、この時代のアニメうる星、すなわち押井監督がうる星やつらをど のように捉えていたのかはまったくわかりません(^^;。だから、BDで見られ るもの以外は原作うる星を基本スタンスとして読み解くわけですから、すっと こどっこいな説が飛び出してもどぞ、笑って許してやって下さいませ(^^;。 ☆窓から覗いていたのは観客である これは、製作スタッフの方御自身が明言されているわけですから、ここから 推理がスタートする、いわば「定理」になります(^^)。さて、そうなると続い て浮かび上がる疑問は、 ・なぜストーリィとはまるで関係ないそのシーンを押井監督は入れたのか ・なぜ、「しのぶ」だったのか ・なぜ、「風鈴」なのか おそらく、この3つを探ることで押井監督の真意の幾許かには近づけるのでは ないかと思われます(^^)。 ☆なぜこのシーンを入れたのか L.WEDDING.さんのMSGの情報によれば、BDには惜しくもカットされたシ ーンがいろいろあったわけですが、問題は「それらは削られて風鈴のシーンは 残された」ことです。つまり、このシーンはそれらカットされたシーンを上回 るほどに重要なものなのです。ところが、このシーンはストーリィ進行という 観点ではまったく寄与してないばかりか、むしろここで全体の流れを止めてし まってすらいます。袋小路の広場に出たしのぶと次の場面にはほとんどつなが りがありません。これらが意味しているのは、このシーンは、ストーリィでは なくテーマを暗示(それも、ストーリィが切れてもかまわないほどダイレクト に、です)するものらしい、と言うことです。つまり、このシーンにこそ押井 監督の言いたかったことがすべて込められている、だからこそ削るわけには行 かなかったのです。 ☆なぜ「しのぶ」なのか これは、なぜ「ラム」ではダメなのか、と言い換えるとよりはっきりする問 題です。しのぶとラムの違いは何でしょう? ラムは「特異な能力を持つエイ リアン」であり、一方しのぶは「(怪力以外は(^^;)ごく普通の少女」です。 確かしのぶの怪力はこのシーン以前ではほとんど描かれず、逆にこの後からは 強調するように何度も描かれているわけですから、ここでは「普通」であるこ とがかなり強調されていることになります。そして、その後で「怪力」少女の イメージが打ち出されるわけですから、押井監督御自身は「『普通の』しのぶ は虚像である」と考えていたことになります。すなわち、この風鈴のシーンは 「熱烈にしのぶを愛するあまり、アニメうる星やつらに虚像を強制しようとし たファン(この映画を見に来るのはほぼ間違いなくファンであり、このような 間接的表現で意図を伝えようとしたからには、押井監督は特に「それがわかる 一定年令以上の熱心なファン」を想定していたことになります)」へのMSG だったのです(なお、同種の仕掛けがラムファンへも、最後のキスシーン−− これもまた一種の袋小路です−−で打ち出されていることに御注意下さい)。 ☆なぜ「風鈴」なのか 風鈴はしのぶを誘い、囲み、袋小路の広場へと誘導しました。そして窓から 隠れるように見下ろす男のそばで、最後の風鈴がチリ〜ンと鳴ります。このこ とから、この男が風鈴を使ってしのぶを自分の許まで引き寄せたらしいことが わかります。この男は、(男であるほかは)後ろ姿から表情すら見えず、まっ たく正体不明の人物であり、彼に関する手掛かりは結局「風鈴」しかありませ ん。そして製作サイドの言では「観客」なのですから、「観客=ファン」であ る以上、「風鈴で暗示されるうる星やつらファン」に限定されることは明らか です。従って「なぜ風鈴なのか」を解けば自ずと彼の正体も判明することにな ります。 「風鈴」という非常に変質者的な誘い方、しのぶを自分の窓の下まで引き寄 せたにもかかわらず、ただ隠れてジッと見下ろすだけ、これらはまさに押井監 督の言うところの「自閉症的人間」の行動です。彼はしのぶをそれまでの「う る星やつら」ワールドから誘い出し、しのぶにとってはまったく知らない未知 の広場へ引き寄せ、そして「観賞する」だけなのです。押井監督はそうした、 人間をまるで金魚か何かのように扱う発想を嫌いました。そうした発想が極ま れば例の○崎幼女誘拐殺人事件のようなことがいつか必ず起こる、あるいは押 井監督はこの時からすでにそう予感しておられたのでしょうか。 ☆終わりに 「風鈴」はあまりにも多義的であり、当時の事情を知らない私に取っては手 に余る象徴です(^^;。まあ、一応意味らしきものが見い出されたことで後は他 の、より詳しい方々にお任せするとして(^^;、以上を総合すると、押井監督が ここで伝えようとなされたのは、 「そんなのを愛と呼ぶな、キャラを『生きている他者』と認めることすら出来 ない奴にうる星ファンを名乗る資格はない、いや、一人前の人間の資格すらな い」 と言うことになるでしょうか。そして、おそらくそれはまたBD全編を貫くテ ーマでもある・・・なるほど、BDは確かに凄い映画です(^^;。 となると、「では、何が本当の愛なのか」がこのシーン以降に展開されてい るはずですが、それはいずれまた別の時に(^^)(私の友だちはこう言うと、決 まって「ベツレヘムぅ?」と茶化すを思い出してしまった(^^;)。 SAMWYN