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#1420/3141 るーみっく☆わーるど *** コメント *** ★タイトル (QEG72756) 94/ 2/ 7 23:53 ( 76) 考察>RE#1414 原作での八神のポジション 飛鳥 杏華 ★内容 ☆阿修羅さん 松尾清憲さんのことについての質問のときは、ハンドルが書いてなくてちょっと 面食らいましたが、NIFの方に同じものがあったので、NIFの方で答えさせて いただきました。大した情報でなくて申し訳ありませんでしたが、お役に立てまし たでしょうか? さて、原作の八神についてですが、阿修羅さんは八神のポジションが曖昧だと感 じてるようですね。確かに、パッと見ただけでは、そう感じるかもしれません。特 に、「弱虫」での退場は、「早すぎる」とか「納得いかない」といった意見も多い ようです。(私もはじめはそうでした。) でも、私は原作での八神のポジション、シチュエーションはかえって明確なんじ ゃないかと思っています。あの退場にしても作品での役目を終えたからであって、 ごく当然のことだと思っているんですよ。 八神は、見事なまでにキャラ整理が行われた「めぞん一刻」の中において、メイ ンキャラクラスで唯一、決着がつけられないまま終ったキャラと言えるでしょう。 それはもちろん、対応する男性キャラがいなかったとか、年齢的に恋愛に関して決 着をつけなければならない歳じゃなかったからとか、いろいろ理由が考えられると 思います。 でも、私は「決着」はつけられたと思うんですよ。まったく別の決着が…。 最終話で八神は、合コンをパスして「まだ五代先生から卒業できない…」とつぶ やきます。自らの時の流れを止めて、ひたすらかたくななまでに一人の男性を思い 続ける姿…。これが、この作品での八神の行き着いたところです。これって、以前 にどこかで見た覚えがありませんか? そうです、響子さんです。八神は「めぞん」のラストにおいて、かつての響子さ んのシチュエーションをそのまま受け継いだと言えるのです。もともと、八神は、 登場時からして、響子さんのコピーを匂わせる設定でした。八神と五代の出会いの シーンは、かつての響子さんと惣一郎さんの出会いをそのままトレースしたかたち になっていましたし…。そして、最終話のあのシーンでは、八神は20歳の春を迎 えています。同じ20歳の春に響子さんの身に何が起こったか…。失恋と死別との 違いこそあれ、まさに八神は響子と同じ道を歩んでいると言えるのです。 すなわち、七尾こずえがあらゆる面で響子さんと対をなすかたちいで設定された のに対して、八神はまさに響子さんのコピーともいうべき存在だったのです。響子 さんにとって八神は、若き日のちょっと過激化された自分自身だったのです。そう いう意味で考えて行けば、すべてに納得が行きます。つまり、響子さんにとって八 神との戦いは、自分自身との戦いだったのです。 それまで、深層真理の中では薄々と五代への想いに気づいていながら、どうして も表層においては「なんで私が…」と否定してきた響子さんが、八神(自分自身) と戦うことによって、「何もかもうそになりそうでこわい。」という言葉で、間接 的ながらも「五代が好きだ」ということを表面に出し、表層において認めることに なったということが、一連の八神シリーズで重要なところです。 これによって、響子さんの自分自身との戦いは終結し、当然、響子さんの分身で ある八神は、ここで役目を終えて退場することになるわけです。キャラに対する思 い入れからすれば、「早すぎる」と思えるこの時期での退場も、作品上の意味から 考えると、非常に緻密に計算されたものであったと言えるのです。 最後に響子さんのシチュエーションを受け継いだ八神…。作家の平井和正氏は、 かつてその著作「めぞん一刻考」で響子さんを女神と評しました。氏の表現を借り るなら、その女神だった響子さんは五代くんと結婚して女神たる地位から降り、代 わって八神が新たなる女神の地位についたのだとも言えるでしょう。(”女神”じ ゃなくて、”めぐみ”だろうってギャグはナシですよ。(笑)) そういう意味からすると、「めぞん一刻」というのは延々と繰り返される巨大な ストーリーの一部であって、今ごろ新・女神である八神とどこかの女子高生が壮絶 なバトルを繰り広げているのかもしれません。(笑) と、これは一刻会の「そると7号」に掲載した「女神継承」という私の文章、ほ とんどそのままですが…。(^_^;) つまり、八神というキャラは、響子さん自身に 五代くんへの想いを認めさせるために現れて、その役目が終ったらスッパリと退場 してしまったというわけで、そういう意味からすると原作でのポジションは、明確 過ぎるほど明確だったんじゃないかと感じてるんですが、いかがなもんでしょう? QEG72756 飛鳥 杏華