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#1509/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (XGM38132) 94/ 3/ 8 23:53 (121) 考察>めぞん一刻TV77〜80話の八神について by阿修羅 ★内容 TVめぞんの20巻を見ました。その感想です。 ※ 以下はあくまで僕の感想です。それを承知の上で読んで下さい。 ※ なお、81話以降で八神が出てこないと仮定して喋ってます。もし81話以降 ※で出てきたら、意見を変えることも有り得ます。僕はレンタルで見てるので、ま ※だ20巻までしか見てないもので。そのこと、ご了承下さい。 80話。サブタイトルが「五代ドッキリ!突然八神のバニーガール!!」で、八神が無 茶苦茶やるような印象を受けますが、全然そうではなかったです。この話はサブタイト ルが良くないですね。内容を誤解される。僕も中身を見て、あまりにシリアスなので、 驚きました。 ふぅ…… 何度も言ってくどいですが、こと八神に関してはTV版の方が流れが自然 です。原作「弱虫」で八神が去るまでの経過が不自然だと思ったところも、TVでは8 0話で見事に自然に八神を去らせています。見事です。本当に。自然すぎるほどに。 80話の終わりの方で、八神が三鷹とのデートの帰りの響子を、一刻館で待ち伏せし ますね。そしてその時に言う言葉と涙。それから坂で立ち止まる姿。TVでは八神の心 理描写の密度が原作より格段に高くなってます。五代=響子の修飾でなく、一登場人物 として、ひとりの、〈五代を好きになった女の子〉としての、八神を描いてるんですね 。 そして、原作と決定的に違うのは、TV版の描写では、ピエロになっていく八神を、 容赦なくストレートに描いているところです。 77話で、五代は紹介状を返します。このことは、五代の男らしい一面を見せただけ ではありません。この事が意味するもの、それは八神の完全なピエロ化です。 原作の八神は、そう、言ってみれば女の鏡みたいなものです。五代が本当に好きで、 で、五代が響子を好きであることを知っていて、響子もそうであることが判って、そし て潔く身を引く。しかも実質的に響子を励まして。 この原作の描写、つまり八神を「弱虫」で退場させた事によって、原作の八神は最後 まで、TV版の八神の様な打ちひしがれた姿をみせません。きれいにさっぱりと去って 行きます。そして更に、最後に1ページだけああいう形で登場させることによって、八 神が決して冷め易いわけではない、一途なことを表現しています。 つまり、原作めぞんの中で、八神はあまりにも理想的なんです。原作めぞん中で一人 だけ、真の理想化された主登場人物と言えるでしょう。(「タッチ」の朝倉 南 的と でも言いましょうか) 響子を待ち伏せた時の八神の台詞、 八神 柱の影から出て来る。 響子 「!」 八神 「デートですか」 響子 「え、いえ……」 八神 「五代先生、好きだったんじゃないんですか。」 響子 「……あの…五代さんなら、遅くなると思いますけど。」 八神 「知ってるわ。キャバレーで働いてることも、保育園やめたことも。」 響子 「えっ?!」 八神 「…………なにも知らないんですか? 管理人のくせに……」 響子 「や、八神さん、保育園やめたって…………」 八神 「……………五代先生、かわいそう…………………………………………あたし じゃ…どうにもならないもん……」 響子 「八神さん?…」 八神 「……………しっかりしてよ!!」 響子 「!」 八神 「このままじゃ心配でほっとけないじゃない!」 響子 「……八神さん…………………」 八神 走って去る …明かに「弱虫!」とは意味が違いますね。かなり強く、響子に対して腹を立ててま す。 そして、本当に苦しんでます。自分がピエロとなってしまったことに。ピエロにしか なれないことに。 この台詞と、「弱虫!」の意味は、程度の差はあれ、あきらめた、という点では一致 してますが、その他ではまるで意味が違う。 確かに「弱虫!」に較べると、表現が直接的です。技巧的とは言えません。しかし、 この状況では、八神の想いから言えば、響子のわがままさから言えば、ここまで言わせ てしまっても、それが内容に深みが無いとは言えないと思います。 80話の前半で、キャバレーに来た時、八神は「あたしだって、五代先生のために何 かしたいもん」と言います。バニーの格好してホステスやるってんです。追いつめられ てたんですね…。五代の就職の助けどころか、自分の存在が五代にとって重荷だったと 思ってるんですから。ま、実際そうですが。でも、あんな事は普通出来ませんからね。 (念のため。コメディタッチでなく、シリアスに描かれてます。だから、マジです。) で、あの台詞です。 「五代先生、かわいそう」。これは明かに響子に向けられた言葉ですね。そして、「 あたしじゃ…どうにもならないもん」で、結局自分には五代に何も出来ないことを、自 分がピエロにしか成り得ないことを、認識している。………この結論を出すのに、どれ だけ悩んだんだろう。 そしてまた、はっきり言って、僕はショックでした。八神の「しっかりしてよ!!」 「このままじゃ心配でほっとけないじゃない!」、という言葉。これを言ってしまうこ とが、なにを意味して、どんなに辛かっただろうか、って事を考えると……。 原作と違う流れ・僕が自然だと思う流れにすれば、いずれこうなるとは分かっていて も… 五代のキャバレー勤めを、響子が知らず、それを知った八神が響子を責める。このこ とで、この、手作り弁当のエピソードの意義は、完全に原作と異なります。原作の意味 の他に、それがくらんでしまうほどに、非常に強く響子を責める結果になってます。 80話前半、一刻館に行った時の八神の言葉、 「五代先生にあんな仕事をさせて、管理人さんは平気なんですか?」 ………。ものすごく痛烈な言葉ですね。 それに、八神がどれほど五代を想ってい るかが、痛々しいほど伝わってくる。当の響子はてんで解ってなかったですが。 78話から80話で、八神はなんとか五代と心理的に一緒にいようと、保育園を訪ね たりして必死です。最終的には坂本の家にまで行きます。彼の家には響子だって行った 事はありません。保育園を何度も訪ねたり、坂本の家に行く姿を見て、あまりの健気さ に、胸が痛みましたね。 先の一連の台詞の後、八神は坂を泣きながら駆け降りて行って、途中で立ち止まりま す。立ち止まるところまでしか描かれていない。いや、立ち止まるところまでを描いた んでしょうか。なぜ、ここで立ち止まったんでしょうね。この時の気持ちは、どんなだ ったんだろう。切なくて、寂しくて、やるせなくて、辛くて、苦しくて…………… ……………………………八神は、どうしようもなく、寂しかったでしょうね。 本当のところは、判らない……… 胸が痛い。 ひとりぼっちの、さよならなんですね。高2の女の子には、酷ですね ここでは、五代は酷い奴だ、響子の優柔不断!、と思ってしまいました。 感動通り越して、残酷ですね…… 94/3/7 by 原作で特に気になる点だったので、八神にこだわる 阿修羅