SIG るーみっくわーるど SIG るーみっくわーるど」は、漫画家 高橋留美子先生(るーみっくわーるど)の作品が好きな仲間が集まっているグループです。 るーみっく好きなメンバー間コミュニケーションのためのチャットや掲示板の提供、るーみっく系イラスト・小説・リンク集の公開などを行っています。 オフ会も不定期に開催されています。1992年6月にPC-VAN上で誕生した歴史あるグループです。
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投稿日時:1994/ 5/15 12: 7 投稿者ID:QKM33822
#1610/3141 るーみっく☆わーるど
★タイトル (QKM33822)  94/ 5/15  12: 7  (172)
小説>らんま「TORA」1 altjin
★内容
【 TORA 】                  小説 ”らんま1/2”

                                                  ID:QKM33822 altjin

  プロローグ
 さて、猫飯店は昼の忙しさも一段落して、シャンプーはホッと息をつきながら、
テーブルに残る皿やコップを集めていた。その時、不意にドガラッと戸が思い切り
良く開けられて、修行の旅姿らしい(シャンプーには乱馬や良牙で見慣れた)格好
の男がズカズカと乗り込んで来た。その乱暴さにシャンプーは少しムッとしたが、
それは顔には出さずにニッコリ微笑んで会釈した。
「来来、そちらのテーブルへどうぞ、ある・・・!」
「貴様かぁっ!!」
「なっ・・・あいやあっ!?」
ところが、その男はバッとマントを開き様にいきなり猛烈なアッパーカットを繰り
出したので、不意を突かれたシャンプーはたまらず壁に叩きつけられてしまった。
「いっ・・・いきなり何するかっ、おまえっ!?」
「問答無用っ! ハーブ様をたぶらかした罪、思い知れっ!!」
あわててシャンプーは立ち上がって続け様に来た男の第2発目をかろうじてかわし
たが、男はなおも猛烈な打撃を繰り出す、シャンプーが必死で転がるように横へ逃
げ、飛び出して来たコロンが杖で男の拳をそらさなかったら致命的な一撃を食らっ
ていたことは間違いなかったであろう。
「何者じゃ、おぬしはっ? 何ぞわしらに恨みでもある者かっ?」
「ハーブ様がここに立ち寄られたのはわかっている! ハーブ様をたぶらかした早
乙女乱馬とかいう女とここで出会ったこともなっ!」
その男はキッとシャンプーを見下した。
「チャラチャラした服なんぞ着やがって、貴様が早乙女乱馬であることなぞ一発で
分かるわっ!」
ビシッと突きつけられる指に、一瞬キョトンとしてしまったシャンプーはすぐにプ
ルプル首を振った。
「わ、私違うね」

  1.乱馬を殺しに来た男
「シャンプー、婿殿のこと、決して教えるでないぞ。わしらだけで始末せんとまた
婿殿に迷惑かけてしまうからの」
男と激しく渡り合う合間を縫って、コロンはシャンプーにコソッと言った。シャン
プーは当然と言わんばかりにうなずいて見せた。
「もちろん・・・はっ!?」
そこへすかさず男の強烈な飛び蹴りが襲いかかり、シャンプーとコロンはバッと左
右へ飛びよけた。
「早乙女乱馬の居場所を教えるか、死ぬか、2つに1つだっ!! ジャコウ王朝の
武技をなめるなっ!」
「誰がナメるか、バカかおまえは?」
シャンプーは飛びよけながらアッカンベーをして見せたが、これがマズかった。
「きっ・・・貴っ様〜っっ!! 許さんっ!!!」
グヌヌヌと怒り心頭に達した男の猛烈な突き・裏打ち・蹴りその他諸々1パックが
一斉にシャンプーに襲いかかって来たのである。
「くっ・・・あいやあっ!?」

「・・・珍しーな。おめーが猫飯店行きたいなんてゆーなんてよ」
学校帰り、あかねがどうも胸騒ぎがすると言うので、乱馬もしぶしぶいっしょに猫
飯店へと向かっていたのだった。
「きっとおばあさんだわ。あたしの胸騒ぎ、とても良くあたるのよ。例えばあんた
が初めてうちに来た時の朝もやっぱり・・・」
「災難ですか、俺って・・・!」
乱馬がハーッとため息をつくように言ったその時、ガシャ〜ンとガラスの割れる音
とともに、向こうに見える猫飯店からシャンプーが外へと打ち出されるのがハッキ
リと見えた。
「持ってろ、あかねっ!」
あかねが驚くヒマもなく、乱馬がバッとカバンをあかねに放り投げてダッと駆け出
していた。

「くっ・・・!」
もう気絶しているシャンプーがあわや向かいの塀に叩きつけられる寸前に、乱馬は
かろうじて彼女を抱き止めることが出来た。
「シャンプー・・・誰だっ!? こんなひでーことしやがる奴はっ!?」
傷だらけのシャンプーをジッと見つめていた乱馬は、怒りもあらわにシャンプーが
飛び出して来た窓の方をキッとにらみつけた。
「・・・気にするな。当然の報いを受けたまでのこと」
その中からヌッと出て来た男は冷静な顔で乱馬を見下ろした。
「女だてらに武道なぞやるからそんな目に会う」
この言葉に乱馬はカチンと来た。
「・・・聞いた口抜かしてくれるじゃねーか」
シャンプーを塀にソッともたれさせた乱馬は、男をにらみながらスッと立ち上がっ
た。そこへ、中からヨロヨロと出て来たコロンが荒い息の中から乱馬に言った。
「き、気をつけよ、婿殿! この男、ハッピーに並ぶ使い手と見た。なお悪いこと
に若い力にみなぎっておるぞ!」
「な・・・ばーさん・・・!」
コロンがそれほどまでにやられた姿を見て、乱馬もたちどころに男の力量がどれほ
どのものかを悟った。乱馬はキッと男をにらみつけると、熱い怒りを冷たく沈めて
スッと構えた。
「わかった。一発でカタつけてやるぜ、ばーさん」
「邪魔しなければお前に危害は加えん。おとなしくその女を引き渡せ」
男もまた冷静に手を差し伸べた。乱馬はペロッと指をなめると、その手にペッと唾
を吐いて見せた。
「へっへ〜ん、3遍回ってワンと鳴いたら考えてやってもいーぜぇ、ヘヘ!」
「・・・ふ」
その手をクールに笑って拭った男の背後には、しかし怒りの闘気がすでにチラチラ
と上がり始めていた。
「やはり、バカな奴は死なんとそれがわからんようだな。分かった。ならば今ここ
で貴様を殺すまでっ!!」
男の背後にいきなりグワッと燃え上がる闘気の凄まじさにはさすがの乱馬も一瞬た
じろいだが、それはすぐにニヤッという笑いに変わった。
(なるほど、こいつぁすげーや・・・。が、その闘気がおめーを倒すんだぜ、俺の
繰り出す一発で、な!)
「はい、殺してもらいましょ〜か〜」
乱馬はあくまで男をからかいながら、さっそく男の攻撃を受け流しつつ螺旋ステッ
プに入った。

「だ、大丈夫、おばあさん!?」
そこへようやくあかねが駆けつけて来た。コロンはあかねの肩を借りてどうにか立
ち上がりながら、いぶかしげに乱馬と男の闘いを見守っていた。
(あの男、確かにジャコウ王朝の者だと言った・・・しかし、どこぞで見たことが
あるような・・・)
(よしっ、螺旋の中心だっ!)
乱馬が足をうまく使ってクルリと男の方に振り向きながらスッとかがんだ刹那、男
の手が陰陽のようにスッと組み合わされた。それを見た瞬間、コロンは愕然とした
表情で怒鳴っていた。
「いっ、いかんっ!! 婿殿っ、飛竜昇天破を打ってはならぬっ!!」
「・・・! やはりそうか。あるいは別な技かとも思ったが、女の拳である飛竜昇
天破を使うとは、さては貴様、女だな?」
ニヤッと笑う男をギッとにらみつけながら、乱馬はコロンに言うでもなく叫んだ。
「もうおせえっ! 食らえっ、飛竜昇天破っ・・・なっ!?」
乱馬が冷気のスクリューアッパーを突き上げるのに合わせるように男がグルリと腕
を大きく回した。
「女なら遠慮はいらんな、とくと味わえっ、飛竜昇天破封じ、秘技『竜王制竜覇』
をっ!!」

  2.竜王制竜覇
「ら・・・!」
驚きのあまり叫びかけたあかねの口をコロンがあわてて塞いだ。
「婿殿の名を出してはならぬ! 婿殿に生きていて欲しいのならば!」
コソッと言うコロンにギョッとしたあかねはのどまで出かけた声をあわててゴクッ
と飲み込んだ。
「愛人っ!?」
ゴウと鳴る風にハッと目覚めたシャンプーは信じ難い面持ちで目の前の出来事を見
守った。乱馬が、まるで洗濯機の中の靴下のように男の前の空間を猛烈な速さでグ
ルグル回っていたのである。
「ぐああああああ〜っっ!?」
「なっ・・・何あるか、これはっ!?」
シャンプーはあわてて助けに飛び出そうとしたが、足がどうにも動かなかった。

「ぐっ・・・はあっ!!」
やがて、乱馬がピタッと空間に静止したかと思うと、そのままズシャッと地面に崩
れ落ちた。完全に気を失っていた。
「この女は人質に預からせてもらうぞ」
男は乱馬を腕に抱き上げると、軽々とジャンプしてシャンプーの後ろの塀の上に飛
び乗った。
「返して欲しくば、早乙女乱馬にただ1人でこのへんで一番広い空き地に来いと伝
えろ! ジャコウ王朝勇武随一のパイホー(白虎)がそこで待っている、とな!
ふははははははっ!!」
その男、パイホーは言いたいことだけ言うとひときわ大声で笑いながらシュタッと
飛び去って行った。
「・・・結局、捜してるその本人人質に連れて行てしまたあるか・・・」
あかねの助けでどうにか立ち上がったシャンプーは、ウンザリとその後ろ姿を見送
りながらボソッとつぶやいた。コロンがホーッとため息をつきながら言い足した。
「・・・殺されないだけマシじゃて」
「・・・なぜ一番広い空き地なの!?」
あかねも深刻な顔で乱馬の無事を祈りながら、どうしてもその疑問を口に出さずに
はいられなかったのだった。

「竜王制竜覇・・・一体何あるか、あれは・・・?」
とにかく対策を、と言うことで猫飯店の無事残ったテーブルに3人は着いたが、誰
もがさっきの出来事を思い返しているのか、誰も口を開かなかった。その重い沈黙
をよみがえる恐ろしさにブルッと身震いしながらシャンプーが破った。
「ただ飛竜昇天破を打破するためだけに編み出された、恐るべき過去を背負う技、
人の恨みの極限の技、じゃ・・・」
コロンが思い出したくないのを無理にそうするかのように語り始めた。
「原理そのものは難しくはない。飛竜昇天破の使い手が冷気を発する瞬間、それを
上回る冷気で闘気ごとその者を包み込んでしまう技じゃ」
「じゃ、じゃあ、闘気の渦はその冷たい壁にはね返されて・・・?」
シャンプーの震えは理由を聞いても一層強くなるだけだった。コロンはうなずいて
見せた。
「さよう。1度発生した闘気の渦、竜巻はその壁にはね返されて、飛竜昇天破を打
ち放った者のまわりの狭い空間を縦横無尽に暴れ回る・・・。そうなれば冷気も闘
気ももはや役に立たぬ、あの技にかかった者はちょうど婿殿のごとく、自らの打っ
た竜巻によってズタズタにされるしかないのじゃ・・・」
「・・・じゃあ、飛竜昇天破は完全に敗れた・・・、ってこと?」
あかねが不安げにコロンを見つめた。コロンはホッと息をついてうつむいた。
「普通の者にはそのような強烈な冷気は生み出せぬ。まさか、それが出来る者が今
1度現れようとはのう・・・」
「今1度?」
シャンプーとあかねが口をそろえて驚きの声を発した。
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