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#1779/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QEG72756) 94/ 7/12 1:12 ( 99) 考察>RE#1774 確かにそのとおりです。 飛鳥 杏華 ★内容 確かに、マッシャ・アッキーニさんの言うとおり、私の「女らんま退場説」(消 滅ではないです)では、「恋のつり竿編」の「おれが死ねば、おめーはしあわせに なれるんだな?」というらんまのセリフとそれに対する良牙の対応をもって土壇場 で「女らんま退場」が覆されたという説をとっています。 かつての「らんま1/2に潜む読者批判」は、かなり自分としても初期の考察と 言えるもので、穴だらけで、今では読み方がすっかり変わっているものが多いです が、「シンデレラの恩返し」あたりの説は、今も基本的には変わっていません。 この「女らんま退場説」は、現在では「女らんまヒロイン降番説」と言った方が 正確でしょう。「母親登場編」から乱馬は男へ、すなわち、ヒーローの格への復帰 の道をたどり、「麝香王朝編」をもって本質的に男(ヒーロー)に復帰し、それに よって空位となったヒロインの格にあかねが復帰するのが「真之介編」だという流 れで見ています。 私は「良牙変身」以降、実質的には「格闘新体操編」からですが、女らんまがあ かねに代わってヒロインの格についたと考えていることは前にも書いたかもしれま せん。ここへ来て、突如としてあかねの不器用が露見して、あかねの格は意識的に 下げられ、結果として乱馬が女になって戦うという一連の格闘シリーズがスタート します。 これは、あかねの断髪による路線変更がもたらした格の逆転だと、やはり以前に 書いていると思います。この逆転は、それまでヒロインの格にいたことによってラ ムと比較され、批判の矢おもてに立たされたあかねを一旦降格させ、女らんまを前 面立てることによってあかねを保護し、巻き返しを図るかたちを形成するものだっ たと見ているのです。 ここから始まる格闘シリーズで、乱馬はほとんどすべて女として戦って行きます。 この女らんまの前面での活躍に対して、あかねは不器用、料理下手、カナヅチと次 々と落しめられて行きます。もう、この間のヒロイン格は完全に女らんまのものだ ったと思うのです。 ところが、この格闘シリーズは、現在のところ「格闘チアリーディング」をもっ て終ったかたちになっています。この「格闘チアリーディング」の直後に来ている のが「母親登場編」です。最後のヒロインとしての格闘を終え、ヒーロー格への復 帰に向けてのターニングポイントを迎える。この流れというのは実にきれいにはま っているんですよね。 さて、話を戻しますが、「真之介編」はあかねがヒロイン格に復帰するシリーズ。 そのシリーズ第1話目のタイトルは、まさに「あかねの旅立ち」だし、冒頭でいき なり記号的な意味で料理下手を克服したかたちが形成されます。これは、こうした 欠点によって落しめられていたあかねの格の回復を意味しているのではないかとも 見ることができます。電話を受けたあかねがひとりでバケモノ退治に行くあたりも 実に意味深です。 しかし、このシリーズの中で1番それを感じているのはオロチとの戦いの最後の 部分なんです。「おれがおまえを守る」と言って、オロチによって水源に引き込ま れたあかねを乱馬は助けに行きます。そして、真之介にあかねをあずけ、あかねを 危険から遠ざけるために女らんまはオトリとなってオロチを引きつけます。 この流れは、かつて女らんまを前面に立てて、あかねを保護した流れの縮図であ ると言えます。そのために、パンチラやチチを見せたりもする。しかし、あかねは 真之介に対する恩返しを終えると、乱馬を助けに向います。自ら危険を冒して…。 ここで、あかねが初めて自ら乱馬を許婚だと言い切ったことも重要なキーポイント だと思います。 ここで、乱馬はあかねを守ろうとしますが、それでもあかねは自ら危険に飛び込 んで行きます。かつては、女らんまによって手厚く保護されていたあかねが、サラ シを巻いているとはいえ、服を脱ぎ捨てて「あたしの方がおいしいわよ!!」とオ ロチを誘います。 そしてオロチの口の中にいる乱馬を助けに飛び込んで行くのです。この瞬間、乱 馬は男に戻され、二人抱き合ったまま、まっ逆さまに落ちて行くときにあかねが言 います、「一緒に帰ろう…」と…。この言葉がまた意味深だと思います。私は、こ こには、乱馬は男(ヒーロー)として、あかねはヒロインとして、ともにあるべき 姿に、本来の「らんま1/2」に一緒に帰ろうという意味が込められているように 思うのです。 いままで自分を守ってくれていた乱馬を逆に助けたことによって、あかねはヒロ インへの復帰を果たしたと言えるのではないかと見てとることができます。ラスト のあかねのしっかりとした態度は、その格の回復を表しているように思えます。 「心配かけてごめんね。」というセリフも、そう考えると非常に意味深ですね。 心配かけたけど、もう大丈夫。ヒロインとして自立して行けるから…って意味に もとれます。そしてこれ以降、現在のところ乱馬はあかねを守るという目的のため に女にはなってはいません。 いずれにしても、私は「麝香王朝編」と「真之介編」は対になっていると思って います。それぞれのラストでの乱馬の言葉も共通するものがあります。「麝香王朝 編」では、 「人がさんざん苦労してきたのによー。やさしーことばのひとつくれー…」 と、求めるように言い、「真之介」では、 「ま、いーか、たまにはやさしー言葉のひつくらい…」 と、心でつぶやきます。ともに竜(または竜もどき)と戦ったあとでの言葉です。 この2つのシリーズは、長さの点でも対をなすように作られているように感じます ね。それだけ大事な話だからこそ、これだけの回数を要したんだと思います。 ということで、なんかフォローのつもりが、自説の再確認になってしまいました が、かつての「女らんま退場説」は現在、こんなかたちに姿を変えているというこ とで…。どっちにしても途中経過ですけどね。完成はいつになるやら…。永遠のテ ーマだったりして。(笑) QEG72756 飛鳥 杏華