#1998/3141　るーみっく☆わーるど
★タイトル (XQJ28057)  95/ 1/ 1  16:46  ( 59)
感想＞RE#1901 ＬＴＦの世界の基盤は何処にあるのか　Ｋｉｍ
★内容

　とても遅くなりましたが、ラム・ザ・フォーエバーについてのＲＥＳです。

　私が＃１８５１で使った「確固とした基盤」という言葉は「筋の通ったストー
リー」として解釈されても構いません。厳密には当時私は、作品世界の「鍵」と
なる要素があるかどうかという意味で使いました。　ＬＴＦ以外の作品では大体
ゲストキャラがその要素となっています。つまり、ＯＹ（オンリーユー）ならエ
ル、ＢＤなら夢邪鬼、というように作品全体を通してキーとなる人物がいます。
ＲＭＬ（リメンバーマイラブ）や完結篇もしかりです。しかし、ＬＴＦについて
考えると誰になるでしょうか？　太郎桜？鬼姫？そうはいえないですよね。つま
り、作品全体を通したベクトルが見えない事を言いたい為に、「確固とした基盤
の無い不安定さ」という表現を使いました。ただ、「筋の通ったストーリー」と
言ってもほとんど変りはないので、マッシャ・アッキーニさんの推察通りで結構
です。


　さて、私は「基盤は無い」と今まで思っていました。でも、マッシャ・アッキ
ーニさんは、「ある」言われます。では、何がその基盤となるのでしょうか。一
見、何の関係もないシーンが連なっているように見えるＬＴＦですが、それらの
関係を結ぶ線が見えればそれが「基盤」であり「鍵」でしょう。

　押井守氏はファンへ「卒業」する事をＢＤで訴えたと言われています。おそら
く、その説は間違いではないのでしょう。ただ、私自身は押井氏が何を考えてあ
の映画を作ったかというのはどうでもいい事だと考えています。私の場合、映画
の解釈はあくまで映画内から読み取れる要素だけから考えるからです。つまり、
当時のファンの状況を合わせて考えなければ解らない事は、（私自身は）無視し
ています。
　そのようにしてもＢＤは映画全体の骨格は変わりません。（この辺、押井氏の
大変巧みな所だと考えています）　ＢＤの世界は、夢邪鬼が鍵となっており、そ
の物語の中で「隠されたテーマ」として「卒業」が扱われているからです。

　では、ＬＴＦの場合はどうでしょうか。「終末と卒業」を頭に入れて見れば、
映画全体のつながりが見えて来ます。この映画がうる星でなければならない必然
性も理解できます。しかし、「終末と卒業」というのは当時のファンの状況まで
考えなければ理解出来ない要素ですよね。で、私がいつもの通り、それを無視し
て映画から読み取れる要素だけを考えると…、見事に意味不明な映画になってし
まうのですよ。（笑）
　ＬＴＦは「終末と卒業」そのものを「鍵」としてしまった映画と言えると思い
ます。

　ＢＤとＬＴＦは両方とも「卒業」を訴えた映画といわれています。ＢＤはあく
まで「隠されたテーマ」として、「卒業」を扱っていて、その視点がなくても作
品が成り立っています。それに対して、ＬＴＦは「卒業」という視点がないと作
品が成り立たないと考えられるのです。この点が決定的に違う点でしょう。

　で、ここまでくれば話は簡単です。私は映画から読み取れる以外の要素は無視
して見ています。その点、「映画から読み取れる以外の要素」である、「ファン
の卒業」その物を「鍵」と「基盤」にしてしまったＬＴＦは、私にとって「基盤
が無い」も同然なのです。つまり、私とマッシャ・アッキーニさんの映画を見る
姿勢の違いから、「基盤の有無」が分かれるのだと考えます。

　ただ、今まで私自身はＬＴＦの「基盤」に全く気付いていませんでした。です
から意図的にＬＴＦの「基盤」の存在を無視していたのではなく、「映画内容か
ら読み取れない要素は考えない」という私自身の鑑賞姿勢が「基盤」の存在を気
付かせなかったと言えます。

　さて、これからどうやって映画を見ていこうか…。大変悩んでいます。(^_^;)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｋｉｍ