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#2040/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QEG72756) 95/ 2/ 9 23:52 ( 94) 感想>「迷走家族F(ファアー)」 飛鳥 杏華 ★内容 いつもながら、ビッグコミック・オリジナル掲載の短編は、考えさせられますね。 読み切りで、いきなり一家心中の話というのは、それだけでも「うーん」とうなっ てしまいます。(こういう題材をいきなりぶつけてくるのは、やはりすごいなと思 ってしまう…。) 今回、読んだ直後の感想は、先日の「らんま」の感想でもチラっと書いたように、 心中決行の直前の母親の「いろいろあって、ストレスたまっちゃったもんね。」と いう台詞と、それに呼応するラストの「最近、ストレスなくなって、笑ってばっか いんじゃないの?」という医者の台詞から、けもさん自身が、かつてはストレスが たまったこともあったけど、最近はそのストレスがなくなって笑ってばかりいるの ではないかという印象を受けたということでした。 何でもかんでも、けもさん自身と結びつけてしまうのは、必ずしも正しくないと は思いますけど、今回は、なんか自然にそんな印象を受けてしまいました。深読み しようと思ってそういう読み方をしたわけではないんです。なんでなのか、自分で もよくわかりませんけどね。(^_^;) 読み返してみると、はづき自身の死に対する心理の推移や、本当に心中があるの かどうかという推測と両親の態度+ヒモとゴムホースといった物的証拠(?)の絡 み合いなど、実にうまく構成されてて、最後までどうなるのかわかりませんでした。 途中まで、心中というのは、はづきの気のまわし過ぎで、ヒモとゴムホースも偶 然のものかもしれない。ほんとは、本当にただの家族旅行というオチになるのかも しれないと思わせておいて、実はやはり心中だったという展開。しかも、それが、 「なんだあー。(違うのかあ)」と思ったところで、一気に逆転するあたりの仕掛 けのタイミングが見事ですね。 そこに至るまでのはづきの心中に関する推測の流れを見ていると、なんだか最近、 「らんま」の終了時期を気にして、あれやこれやと思いをめぐらせているいる自分 の姿がダブりました。 そういう見方をすると、はづきが両親の落ち込んでいる姿を初めて確認したとき の「もう終わりだ…」という台詞が、余計に意味深に思えてしまいます。(笑) 「はづき」という名は「葉月」(8月)からのものと推測できます。8月といえ ば、昨年、アメリカで「らんま」について「もうすぐ終わります。」と発言したと されるのも8月です。 作品中に出てきた日記は、「1orW」の渚の日記をまず連想しましたが、「1 orW」が出たのも8月でしたね。(日記帳のかたちも似ています。) 「恐らく、一家心中だ」と考えるはづきに対するの何度かの肩透かしは、なんと なく、「いよいよ完結か?」と思わせながら続いている現在の「らんま」の状況に 似ています。 とすると、「なんだあー。(終らないのか)」と思ったところで、一気に完結に 突っ走るということも…。(^_^;) しかし、不破家の一家心中は未遂に終わります。父親は「もう少しがんばってみ るよ。」と言い、最終的には心中決行の動機となった胃潰瘍(恐らく、胃癌と思い 込んでいたのでしょうが)とその原因であるストレスは消滅したことが告げられま す。 もし、「らんま」に当てはめるのなら、「らんま」をもう少しがんばってみると いう意味にも取れます。ストレスもなくなったからと…。多分に、私個人の希望が 含まれた読み方ですがね。(笑) こうした状況の中にいて、まるっきり他人事のように無関心というか、マイペー スの弟・翔平というのもまた、なんとなく意味深に思えます。 意味深といえば、車内中吊り広告に書かれている文句も、非常に意味深でしたね。 >”絶対、何か隠してる!” >”あやしい!” >妙にはしゃいでる家族旅行。 >私の「もしかして」は、 >結構当たる。 >なんだか最近、 >お父さんが明るすぎる! >”私は、きっと殺される!?” 私の「もしかして」が当たってのるかどうかはわかりませんが…。(笑) この作品、まだまだいろいろな読み方ができるはず…。冒頭、はづきが父親のホ ールインワン賞のトロフィーをぶち壊すシーン。賞、トロフィー、それの意味する ところは、「過去の栄光」、あるいは、「輝かしい思い出」でしょうか? それを わざとぶち壊して父親の反応を見た娘のはづき…。 このあたりからは、逆に父親をある種の読者と置くこともできますね。かつては、 そういう行為に怒っていたのに、最近は「ま、いーや。」と笑って許すようになっ た。ストレスがなくなるくらい、最近は笑ってばかりいるようになったと…。 今の段階でその辺を特定するのは無理ですが、もし、父親をけもさんと置いた場 合、最近、笑ってばかりいられるようになった理由とは何なんだろう? その辺も 大いに興味の対象となるところですね。(笑) しかし、ほんとに構成うまいわ! アラレンジャーと旅館「はずれ屋」のばあさ んの「よれよれっ」って擬音も笑えた笑えた! …って、最後になってようやく普通の感想が出てきたな…。(笑) QEG72756 飛鳥 杏華