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#2041/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QEG72756) 95/ 2/14 23:32 ( 76) 感想>小さなハートに大きな感動…。 飛鳥 杏華 ★内容 今回の「らんま」ですが、特にラストの1ページが光ってましたね。そこまでの イベントのすべてが、このラスト1ページのために用意された大きな伏線のように さえ感じられました。もし、そういう構成を狙ったのだとしたら、これはやっぱり、 すごいと思う。 今回、素直に感じたのは、「扉絵のあかねちゃんがラブリーだな!」ということ でした。(飛鳥 杏華らしくないかも…。笑) 表紙の方もいいですが、私の好み としては扉絵の方ですね。 それと、九能がいい味出してますね。(笑) 「九能センパイよ」「よけて通り ましょう」っていう女の子たちの会話もよかった。 しかし、またこの時期に意味深なキャラが…。うさぎのぬいぐるみだけが友達だ ったという病弱な女の子。飛鳥 杏華の考察ではおなじみの「セーラームーン」を 表す記号ですね。(最近は、私がしつこく書くもんだから、思わずそういう見方し た人も他にいるんじゃないかな? (^_^;)) うさぎのぬいぐるみ(=ちびうさ)だけが友達だった病弱な女の子といえば、土 萌ほたるです。(髪型や体型など、外見はむしろちびうさに似ていますが)ちょう ど、ほたるがセーラーサターンとして真の覚醒をする直前に来ているあたりは、狙 ったのかなとも思います。ひなちゃん先生もちゃんと出てますね。(笑) 今回の中で、一見、メインであるかのようにほぼ全編に渡って描かれたイベント は、この女の子によって用意されますが、結局、周囲が注目しているのは、「あか ねが乱馬にチョコレートを渡すこと」(「乱馬があかねからチョコレートをもらう こと」)なんですね。 クラスの生徒たちのほぼ全員が、それに注目し、期待しているかのようです。こ の状況っていうのは、「らんま」のラストをどう飾ってくれるかに注目し、期待し ている読者たちの状況を象徴したもののようにも思えます。 それと、病弱な女の子とばあやさんが、乱馬の前にいても、結局、あかねに渡し てもらうよう頼むあたりに意識的なものが感じられますね。「らんま」のラストと 絡めてみるならば、「あかねが乱馬にチョコレートを渡す」という記号的な意味で の告白と受諾によって、「らんま」を完結へ導こうとする力を象徴していると見る こともできます。 しかし、乱馬がチョコレートを受け取った直後に、病弱な女の子は、そのチョコ レートが自分の手作りのものであることを告げてしまいますから、前述の完結へ導 く力の線は薄いような気がします。 むしろ、てっきりあかねからだと思っていたのが、肩透かしを食らい、(その時 点では)あかねからチョコレートをもらえなかったということに対するショックが 重なって、「へなへなへな」となってしまう乱馬が描かれることが重要だったのだ と思います。 こことラストの1ページが、むしろ今回の作品の中心であり、すべてであると言 っても過言でないと思います。将棋に例えるならば、病弱な女の子とばあやさん、 いや、そこまでのイベントすべてが、詰めのために使われた捨て駒のような存在だ ったようにさえ思えるのです。これはかなり大胆な構成と言えるでしょう。 最終ページで、(恐らく)本当にもらいたかった相手からチョコレートをもらっ て「じ〜ん」となる乱馬くん。最後の2人の会話も最高の雰囲気ですね。少し前な ら、チョコレートをもらうことに対するプライドにこだわってたんじゃないかと思 える乱馬くんが、小さなハートに「これでいい」と答えたあたりは、見た目にはわ ずかでも、乱馬の側の気持ちがあかねに接近してきていることを表していると思い ます。 最後に、本筋とは関係ありませんが、女の子が元気になって去って行くコマ。す ごいなと思いました。小さなコマで、特に精細に描き込んだものでもないわけです が、女の子がいかに元気になったかを表現する手法として見事だなと思いました。 描き込むことで表現するのも、それはそれで素晴らしいことですが、こういう簡 略化された絵の中で、強烈なインパクトを伝えられるというのはさすがだと思いま す。(自分で漫画を描いてみると、このすごさが実感できるのではないかと思いま す。) それはいいとして、このシーンで元気になった女の子のもとから、うさぎのぬい ぐるみが消えているのは何やら意味深のような気もしますが…。(^_^;) しかし、ほんと…、けもさんの構成の妙は名人芸の域に達してきたと思う。(以 前からそうだとかいう突っ込みされるかも…。笑) QEG72756 飛鳥 杏華