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#2103/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (VGJ14895) 95/ 3/16 0:44 ( 98) 感想>サンデー14号:本当はやさしいいい子だよ。 雨宮 伊都 ★内容 と、いうわけで、眠いアタマで所感をとつおいつ文章に纏めあぐねているひまに、 レイ子さん飛鳥さんが例のごとく、ほかの重要ポイントはことごとく押さえてしま われましたので、屋上屋を架することもなし、これで存分に心おきなく「彼女」に ついてのみ語れるというものです。わーい。 (しかし、お二方のアーティクルに「彼女」の言行を云々した箇所が見られない のは、特に私が扱うべき話題としてわざわざとり置いてくださったのか。それとも あるいは、あえて論ずるほどのことでない、とお考えになったまでか。) あわや正体が露れ、実の母親に介錯(←二人一組の某特殊ジャンルマンガ家の名 前ではない)されちゃうかと見えた「乱子」を、咄嗟に機転を利かせてデッチあげ た「女装が大好き」な「通りすがり」(!)の「変態少年」の話で助けてくれ、そ ればかりか、廊下に出てから怒ってどすどす詰めよってきた「乱子」に、 「あかね、帰って来たときすっっごく(←この「っ」のひとつ多い強調ぶりにご 注目!)元気なかったわよ。 「あんた、またひどいこと言ったんでしょ。」 と、いたって真顔の咎めだてであかねへの謝罪を促しまでしたなびき(「あ、そう そう。」とあたかも事のついでのように切り出すあたりがまた良い)。ああ、やっ ぱり妹思いのやさしい娘なんだなぁ。 「変態少年」のつくり話については、確かにその場しのぎのものでしかなく、実 際ために却って、ますます「乱子」は母の前に正体を現わしがたくなってしまった といえ、とにかく危ういところを救ったのには違いなく、しかもここで重要なのは、 彼女がこの功績によって報酬を要求してはいないところです。 まったく、「取」銭奴だの、サラ金会社でならよい働き手として重宝されるんじ ゃないかだの、なびきについてそんな意味のことをおヌカしの輩のかた(が、いら したような記憶がありますが、気のせいだったかな)、この機会に、いささかなり とも認識を改められてはいかがと思った次第。−−いや、これはちと口が過ぎまし たか(なおも「どーせまた後からふんだくるんだろ。たまたま物語中には描かれな いだけで」などと宣いくさるとあらば、土星に代わって「沈黙の鎌」をお見まい申 しあげませう)(←って、なに莫迦なコト書いてんだか私ゃ)。 「やっぱり」と私が書いたことを、奇異に感じられた方がおいでやも知れません。 しかし、なびきのこうした「やさしさ」はなにも今回、始めて見られたものではな いのです。実は「対火車王編」以前でも以後でも、このあたりは変わっていないの ではないか。 「以前」では「許婚交替編」がその最たるものでした。あの中でなびきの一連の 行動を、単に乱馬とあかねの痴話ゲンカを利用した金稼ぎとしかご覧にならなかっ た方はけだし悲しくも多いでしょうが、それは見方が皮相的というものです。二人 が最終的に「仲直りのデート」をする形になったのは、全体だれのお蔭だったか? もしなびきが二人に色々とちょっかいをかけなかったならば、仲直りの時がくるの がもっとずっと遅くなっていたことは明らかではありませんか? それに、「右京十年ソース編」においては、右京に乱馬を諦めさせるため乱馬・ あかねに「いつわりの夫婦」を演じさせもしました。強調しておきますが、この策 を案出してやったこと自体に対する報酬は、彼女は要求していないのです(え、描 かれていないだけだろ、って?)。後の、「冗談かどうか…確かめる方法」の千円 や、バケツの水一杯500円、また「私は金の奴隷…」の台詞などは、一種の「照 れ」を偽悪的に韜晦したものと考えられます(くわしくは、もし宜しければ一刻会 発行『そると』8号所載の拙文をご参照ください)。 比較的最近、すなわち「以後」の例を挙げれば、「伝説の相合ガサ」(第31巻P ART.6)のラストシーンに、ちょっとした、気づかれにくい(なにしろその前 に、九能ちゃんから一万円巻き上げてもいることだし。−−もっとも、これに関し ては私なりの、また別の機会に披露したい介錯、もとい解釈があります)。「やさ しさ」の発露とおぼしきものが見られます。 学校まで傘を持って妹たちをむかえに来てくれたかすみが、帰りみちひとつ傘の 下(あ、そーか、そういや結局「相合ガサ」しちゃってるんだね。ふふ。←今頃気 づく莫迦)に、お互い頬を赤く染めて黙りこくったまま気まずそうにしている乱馬 とあかねを訝しんで、なびきにわけを訊ねる。と、返ってきた答えは−− 「なんか恥ずかしいことあったらしーよ。」 いいですか、なびきはことの一部始終を実際にはしっかりその場で目撃している、 いやそれのみかは、事件の体験者のひとりでもあるのです。にもかかわらず、はっ きり詳しく語り伝えることは避け、「あったらしーよ。」とのみ、推定形で答えて 済ませた、つまり、何があったか、自分は直接現場に居あわせなかったのでよく判 らない、とばかりとぼけてみせている。 あんなに面白い観物だったのだから、おねーちゃんにも吹聴したくなって当然、 それを二人の恥なれば伏せおくという、このさり気ない、やさしい心づかい……。 この間の「邪悪女王」の一件もあって、「対火車王編」以後のなびきの変化(あ くまでも「変化」なので、「成長」と呼ぶべきではないと私は思うのですよ、飛鳥 さん)にそのゆく末が心配だったのですが、今回(笑。前回だってば)の乱馬への 助け舟、咎めだてを見て、すこし安心できました。もっとも不安は減じたにすぎず、 解消されたわけではないのだけれど……(OLTで飛鳥さんに、「今度のは偽悪的 韜晦の仮面を被っていないようだが」という旨の指摘を受け、そこの辺をうまく解 釈・説明できなかったためもあります。確かにマトモすぎる感じで、何かあるんじ ゃないかと気にかかる)。 (余談) それにしてものどかさん、いいかげん気づきそうなもんだが息子の所在に。あれ だけ自分と「並べて見るとそっくり!!」な顔をした「乱子」に、ちっとでも疑問を おぼえんものだろーか。 ムーミンママは、「飛行おに」の魔法の帽子を被ったせいで異形のものと化りは てた、ムーミントロールに事情を知らずに対面しても、一目で即相手を息子と見抜 けたのに(トーベ・ヤンソン『たのしいムーミン一家』参照。……って、ホントな に書いてんだかなー私ってば)(笑)。 「男らしくない」だの、「女らしく」だの皮層的な「らしさ」ばかり云々するあ たりに問題があるような気もする。そこのへんに拘ってるうちは、「乱子」の正体 は悟りえないのやも知れないなぁ。 −−さて、これをUPしたら今度は「今週の『らんま』」の感想文だっ(……と か言いつつ、また一週遅れになったりして)。 (ほかのお題も溜まる一方だなぁ。) VGJ14895 雨宮“なびき女王様の家来[いぬ]”伊都