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投稿日時:1995/ 4/ 4 23:56 投稿者ID:QEG72756
#2126/3141 るーみっく☆わーるど
★タイトル (QEG72756)  95/ 4/ 4  23:56  (109)
感想>やはり位相はズレたのか…。   飛鳥 杏華
★内容

 今回のシリーズの初回の感想で、「また、何らかの路線変更があるかもしれない。
位相がズレでパラレルワールドの隣りの世界にひょいと移ったような感じで…。」
というようなことを書きましたけど、シリーズ全体を読み終えたあと、#2123
のMεω.さんのMSGを読んで、よりそう感じるようになりました。

 Mεω.さんのMSGのどの部分かと言うと、のどかさんとの対面やそれに伴う
秘密の露見等が「らんま1/2」のクライマックス(及び完結)には結びつかない
だろうという内容の指摘で、これを読んで「確かに…。」と思いました。

 でも、私の場合はもとからそういう考えだったわけではなくて、今回のシリーズ
が提示されたことによって、そうなったのではないかと感じたわけです。

 私がのどかさんの登場と乱馬との対面を「完結」に結びつけて考えていたのは、
のどかさんが初登場したシリーズで提示された初期設定からでした。前にも書きま
したが、のどかさんは、ほとんど忘れかけていた「完全な男に戻る」という目的を
乱馬に再確認させるため、あるいは、どうしても男に戻らなければならない理由を
与えるために登場したのだろうと考えたからです。

 「男らしくなければ切腹」というのはかなり強引で、それゆえ作者の強い意図を
感じさせるものだと思います。これによって、「切腹」せずに母に会うためには、
乱馬は完全な男に戻るしかないという設定が生まれました。少なくとも、「母親登
場編」のラストにおいては、いつか完全な男に戻って…という方向性でした。

 「らんま1/2」は、やはり乱馬が女に変身してこそ「らんま1/2」だと思う
んですね。だから、もし乱馬が完全な男に戻るのだとしたら、そのときは作品が完
結するときだろうと思うのです。ですから、のどかさんに晴れて会うときが、完全
な男に戻ったときであるならば、すなわち、「らんま1/2」が完結するときであ
ろうと考えたわけです。(もちろん、それと平行してあかねちゃんとの決着もつけ
られるだろうと考えていました。むしろ、その結果として男に戻って…という手順
かなと…。)

 そういう意味では、「麝香王朝編」というのはまさにもってこいの最終シリーズ
候補だったんですが、結局ここでは乱馬を完全な男に戻すことはできなかった(あ
るいは、戻したくなくなったのかもしれませんが)。これによって、当初の設定に
破綻をきたしてしまったとも言えなくはないと思うのです。

 でも、そこはさすがけもさん。その破綻を逆手にとり、のどかさんシリーズを展
開して、そのたびに「切腹」の恐怖にあたふたする乱馬くんで笑わせてくれていた
のですが、「乱馬熱病編(らんちゅう編)」から少し流れが変わってきて、完全に
体質が元に戻っていなくても、女にならない状態にあれば会えるんだという方向性
が出てきました。

 しかし、まだこの段階では「女にならない状態」というのが前提で、やっぱり男
に戻らなければダメだという結論を覆すまでには至っていないと思うんですね。

 一方、ここまで、のどかさんの「男らしさ」のイメージとして読者に伝わってい
るのは、ラジウム温泉の湯柱の中で助けられたときのりりしいイメージや公紋竜に
見られた荒々しさといったもので、あくまで一般的に見ても「男らしい」と言える
ものでした。

 ところが、今回のシリーズでは、のどかさんの求めている「男らしさ」の方向性
が一般的な観点からズレてきたわけです。もちろん、「女の子の裸に興味がある」
ということは、のどかさんのイメージする「男らしさ」のうちの一部に過ぎないの
でしょうが、こうしたズレた観点が提示されたことによって、変身体質のままでも、
「切腹」せずに対面できるかもしれない可能性が見えてきたわけです。

 実際、こうしたズレが現出したことで、のどかさんの求めるイメージというのが
一気にぼかされて、どうにもつかみどころがなくなったという印象があります。こ
うなってくると、どうにでもできてしまう。

 「男ならば、男らしくなくてはいけないけど、女になったなら、女らしくしなく
てはいけない。」 そんな結論に達したとしたら、もう完全に乱馬は変身体質を治
すことなく「切腹」から解放されるわけですね。

 今回のシリーズは、それまでどちらかというと古典的なものを求めているように
思えたのどかさんの「男らしさ」の定義が、実はそういうわけでもなく、結構ズレ
ているというか、許容性や柔軟性を含んでいることを伝えることによって、そうい
う方向への道を開いたものであって、「らんま1/2」という作品の1つのターニ
ング・ポイントとなる話だったと思います。

 そう考えてくると、冒頭での「あかねのちちが大きくなった」という事実は、そ
れまでの「らんま1/2」の作品世界における常識や定説が動いたことを意味する
重要な記号であって、このシリーズが、「らんま1/2」にとって1つのターニン
グ・ポイントになることをあらかじめ予見させる象徴的な出来事であったと言える
と思います。(「真之介編」での普通のカレーを作ったという出来事と同じパター
ンですね。)

 そういう意味で、私はMεω.さんとはまったく正反対に、「あかねのちち」の
問題とのどかさんの「男らしさ」の定義は、このシリーズで非常に重要な意味を持
っていると考えているのです。

 が、これだけ正反対の見方をしながら、「のどかさんと乱馬の対面が、作品の完
結には直接結びつかないだろう。」という結論が一致したのは、何とも面白い結果
ですね。(笑)

 しかし、この見方も自分自身、半信半疑でして、「男ならば、男らしくなくては
いけないけど、女になったなら、女らしくしなくてはいけない。」というような決
着のかたちというのは、のどかさんの登場時からすでに出来上がっていたんじゃな
いかという考えもあるのです。(そういう決着のしかたをするのかどうか、まだわ
からないわけですが…。(^_^;))

 というのは、のどかさんが初登場したとき、川の落ちた乱子ちゃんに言った「女
の子はもっと女らしくしようね。」という一言が、ずっと引っかかっているからな
のです。

 実は最初のこの一言が、すべての答えになっているんじゃないだろうか? こち
らの説も捨て難いものがあるのです。が、もしこっちが正しいとすれば、これまで
書いてきた私の読みとは正反対になり、のどかさんの感覚のズレも単なる用意され
たステップの1つでしかないことになるでしょう。

 こちらの説の方がスケールがでかいし、もしそうだとすれば、よりけもさんのす
ごさを感じてしまうわけですが、果してどうなのだろうか? うーん、どっちにし
てもすごいな。(笑)

 もちろん、単純に読んでもすごく面白かったけど…。(何をいまさら。笑)


                    QEG72756   飛鳥 杏華
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