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#2398/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (QEG72756) 96/ 2/ 9 6:56 ( 71) 茶の間>未練は解消できたのかな…。 飛鳥 杏華 ★内容 「茶の間のラブソング」ですが、予告を見ただけでは、死んだ課長の奥さんのこ とまでは予想できませんでしたから、ラストにはちょっと驚くとともに、じわーっ と滲みてくるような感動を覚えました。 一見、課長と桃井ひとみのラブストーリーかと見せておいて、実は課長と奥さん の「ラブソング」だったんですね。この構成は、かつての「らんま」での「小さな ハート」に似たものがあります。1番大事にのはやっぱりラストで、それまでの桃 井ひとみとのことは、あのラストを引き出すための伏線だった…。 冒頭の葬式のときの「泣いてやりたいんだが…」(泣けなかった)とラストでの 「私は少し泣いた」との対比というか、やっぱり構成がうまいなぁと思わず嘆息し てしまいますね。 何でもかんでも、「らんま」や作者の状況、自分自身との関連を考えてしまうの は、必ずしも正しくないとは思いますけど、なんかどうしてもこのオリジナルの短 編には「らんま」や作者の状況が写し込まれているように思えてしかたないんです よね。(^_^;) 今回の桃井ひとみが、外見上あかねに似ていると感じた人は結構多いかもしれま せん。私もそんな印象を受けた1人で、ある程度は意識的なのかなとも思っていま す。 となると、この桃井ひとみの(結果として)ちょっと思わせぶりな行動にどきど きしちゃってる課長って、私を含めて「らんま」他の作品に自分のことや自分に関 することが描かれてるんじゃないかって思って一喜一憂してる人たちの立場みたい にも見えてきて…。(^_^;) かつて、あの暗く重苦しい「鉢の中」と「らんま」への五寸釘の登場が同時期だ ったことにはじまって、いちばん「らんま」との兼ね合いを強く感じたのが「百年 の恋」でした。 掲載前号に出された予告と全く違う作品になった上、りさおばあちゃんが一旦死 んで、生き返ってきた(やるべきこと、やり残したことがあったから…)という象 徴的な冒頭は、この当時「麝香王朝編」がクライマックスを迎えつつあっただけに 意味深でした。 結果として、おばあちゃんが生き返り、そのまま元気に生き続けるという結末は 「らんま」が「麝香王朝編」で完結せず、続いていったのと合致しました…。 そして、昨年の「迷走家族F」では「もう終わりだ」と一家心中に走った話でし たが、そんな中で「もうすこしがんばってみるよ」という台詞とストレスの解消と いうのが、やたらと印象的でした。 そして今回、残っていた未練が解消されて、課長の奥さんは成仏するという結末 …。この辺が非常になんとも、「らんま」がこういう展開になってきているだけに、 象徴的に思えて、「ああ、やっぱり終わるのかなぁ」という気にさせられてしまい ました。 課長は、桃井ひとみに関しては、作品の中に自分の存在を感じて一喜一憂してい る人たちのようだと書きましたけど、奥さんとのやりとりを見てると連載継続中は 関心を示そうとしなかったのに、いざ終わるとなったら急に熱心になった読者とい うようにも見えますね。 でも、そう考えると、成仏せずに残っていること=「らんま」の連載を続けてい ることは、単なるいやがらせと言っているようで、なんとも洒落にならないのです が…。(^_^;) でも結局、この課長は奥さんからの結婚記念日のプレゼントをもらうことになり ます。「いつもありがとう…」という言葉とともに…。それが渡せなかったのが、 未練だったということだとすれば、この言葉とともにひとつの終わりを迎えること になるのかな…と。 もしそうだとすれば、ほんとうに淋しくなりますね。ほんとに少し泣くかもしれ ないな…。 最初の方で、課長と奥さんの「ラブソング」だったって書きましたけど、もしか したら、作者と読者の「ラブソング」なのかもしれませんね。そう考え出したらほ んとに泣けてきた…。 QEG72756 飛鳥 杏華