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#2635/3141 るーみっく☆わーるど ★タイトル (MXN30050) 97/ 5/ 7 23: 5 ( 51) 4コマ>嗚呼 様式美 kela ★内容 水曜の気だるい午後、コンビニでサンデーを立ち読みする怪しい人影・・・ 無論私である。いつものように巻頭カラーから欄外に至るまで悉く目を通し 犬夜叉をチェックして読者ページを通り抜け、はや奥付の作者のコメントへ。 「ぬ゛ぅ!? 4コマだとっ!? バカなッ! スピリッツの増刊が出た のは知っている!! 4コマ特集も確かに立ち読みした記憶があるっ! だがしかしけも先生の作品など影も形も・・・ あ゛ そーいえばあの時はてきとーに読み飛ばしてたんだった・・・」 と、ゆーわけで。どーにかスピリッツの増刊を見つけて早速立ち読み。 確かにあります。作品番号55、「不良」。 今回は様式美を追求したとのことですが、確かに完璧なまでの起承転結です。 しかし、この4コマで最も重要な役割を果たしている小物は、実は1コマ目 のフランソワーズ・・・ではなくラクガキのおひさまなのです。 油断していると気付きませんが、この4コマの時間の流れ方は破綻して います。1コマ目と4コマ目が現在で2コマ目が(主観的な回想による) 過去、3コマ目は多少曖昧にされていますがおそらく現在。そうすると2コマ 目と3コマ目の間には一定以上の時間が必要ですが、作品の内容から考えれば 2コマ目と3コマ目は連続していると考えるのが自然です。 つまりこの4コマは一定の因果律、時間軸の上に成り立つストーリーとしては 明らかに破綻しているのです。しかしここで注目されなければならないことは ただこの作品の時間軸が破綻しているという事実ではなく、むしろその破綻 にもかかわらず表面的には、そしておそらく作品の本質としても破綻は現れず、 読者は破綻を何ら意識することなく作品を鑑賞することが可能であるという ことなのです。 これを可能にしたものは何か。それは、完璧な起承転結もさることながら、 1コマ目のおひさまの働きによるものです。すなわち、このおひさまが虚構の レベル、世界観を規定する標識として働いているからこそ、読者は4コマと いう極めて限定された空間でありながら違和感なくその作品世界に没入する ことができるのです。これに規定された作品世界からすれば、むしろ因果律は 「破綻していなければならなかった」と言え、さらにそれは世界を支える基底 となるものであるがゆえに、表面に現れてはならないものであったと言えます。 そして表面に現れた部分もそれ自体が「少女マンガ」という様式のパロディと なっているということもまた注目に値します。つまりこの作品は「様式の破綻」 と「破綻の様式」が起承転結という「伝統的様式」によって統合されていると いう三重の意味で様式美といえるのです。 ・・・あまり本気にしないよーにね。 MXN30050 kela